
なぜ大規模修繕で給排水管の更新が必要なのか
マンションの給排水管には、鋼管(亜鉛メッキ鋼管)や塩ビ管(VP管・VU管)など複数の材料が使われています。特に1970〜1990年代に建設されたマンションでは、亜鉛メッキ鋼管が多く使われており、内面が錆びて赤水が出たり、腐食による漏水が発生したりするケースが増えています。
給水管の法定耐用年数は15年とされていますが、実際の使用環境によってはそれより早く劣化が進むこともあります。一方、塩ビ管の排水管は比較的耐久性が高く、30〜40年以上使えることもありますが、接合部のゴムパッキンの劣化や勾配不良による慢性的な詰まりが問題になるケースもあります。
漏水が起きると、上階から下階への水漏れ被害につながり、損害賠償トラブルに発展することもあります。予防的に計画的な更新を行うことが、建物の資産価値維持とトラブル防止の観点から重要です。
給排水管更新工事の主な工事内容

共用部分と専有部分の区分
マンションの給排水管は「共用部分」と「専有部分」に分かれており、それぞれ工事の主体と費用負担が異なります。
- 共用部分:竪管(縦に走る主幹配管)・横引き管(廊下や天井裏を通る配管)など。管理組合が修繕積立金を使って工事します。
- 専有部分:各戸の室内にある給水・給湯・排水配管。原則として各区分所有者が費用を負担しますが、大規模修繕に合わせて管理組合が一括工事を行い、費用を専有部分工事費として徴収するケースもあります。
共用部分のみ工事した場合、専有部分の配管が老朽化したまま残るため、後日室内での漏水が起きる可能性があります。一括工事が理想的ですが、合意形成が必要です。
更新工法の選択:更新と更生
老朽管への対応は大きく2種類あります。
- 更新工法(取り替え):古い配管を撤去し、新しい配管に入れ替える方法。内面の状態がどれほど悪くても確実に問題を解消できますが、壁や床の解体・復旧が必要で工期と費用がかかります。
- 更生工法(ライニング):既存の配管内面に樹脂(エポキシ樹脂など)を吹き付けて内面を再生する方法。解体工事が少なくて済むため工期が短く費用を抑えられますが、管径が小さい場合や腐食が進みすぎている場合は適用できないこともあります。
どちらを選ぶかは、配管の劣化度合い、管の材質、建物の構造、予算によって判断します。事前に配管内視鏡(管内カメラ)調査を行い、劣化状況を確認してから工法を選定するのが一般的です。
費用と工期の目安
給排水管更新工事の費用は建物の規模、工法、配管の延長、専有部分の工事範囲によって大きく異なります。あくまで目安として、共用部分の竪管・横引き管の更新工事のみを行う場合、30戸規模のマンションで数百万〜1,000万円台になるケースが多いとされています。専有部分を含めた全管更新では規模に応じてさらに増加します。
工期は規模によりますが、共用部分のみであれば1〜3ヶ月程度が目安です。居住者への断水時間が生じるため、工程の調整と事前告知が重要です。
管理組合が進める際のポイント
1. 現状調査から始める
まず専門業者に依頼して、管内カメラ調査や水質検査などの現状調査を実施します。劣化の程度を把握することで、工事の緊急性と工法の選定根拠が明確になります。
2. 長期修繕計画への組み込み
給排水管更新は多額の費用がかかるため、長期修繕計画(一般的に30年計画)にあらかじめ組み込んでおくことが重要です。修繕積立金の積立額が不足している場合は、計画の見直しと積立金の改定を早めに行う必要があります。
3. 区分所有者への説明と合意形成
専有部分の工事を一括で行う場合は、区分所有法に基づく集会決議が必要です。工事の必要性・費用・工程を丁寧に説明し、理解を得ることが大切です。
4. 施工業者の選定
給排水管更新工事は、給水装置工事事業者の指定を受けた業者や管工事施工管理技士が在籍する業者に依頼することが重要です。複数社から見積もりを取り、工法・工期・保証内容を比較検討しましょう。
まとめ:計画的な給排水管更新で資産価値を守る
マンションの給排水管は「見えない老朽化」が進みやすい設備です。漏水被害や水質悪化が起きてから対処するのではなく、建物の築年数や配管材質を確認し、計画的な更新を長期修繕計画に組み込むことが、建物の長寿命化と資産価値維持につながります。
宮城県内でマンションの給排水管更新工事をお考えの管理組合・管理会社の方は、まず現状調査から始めることをお勧めします。工事の詳細や費用については、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
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