
工場・プラント・ビルの機械室で配管を扱っていると、必ず目にするのがフランジ接続です。二枚のフランジの間にガスケットを挟み、ボルトとナットで締め付けるだけの単純な構造ですが、漏れの原因としては驚くほど多く、施工品質の差がそのまま現れる箇所でもあります。この記事では、フランジ接続でガスケットとボルト締付が重要な理由と、施工時・点検時に押さえたいポイントを整理します。
フランジ接続の基本構造と役割
フランジ接続は、配管の端部に取り付けた円盤状のフランジを向かい合わせ、間にガスケット(密封材)を挟んでボルトで締め付ける方式です。ねじ込み継手や溶接接合と違い、分解と再組立てができるため、バルブ・ポンプ・熱交換器など、将来的に取り外す可能性のある機器との接続に多く使われます。
構成要素は次の四つです。
- フランジ本体(配管や機器側に取り付けられた接合面)
- ガスケット(二つのフランジ面の隙間を埋めて流体を封じる部材)
- ボルトとナット(フランジ同士を締め付けて面圧を生む部材)
- 座金(ナット座面を保護し、締付力を均一に伝える部材)
シールの原理は、ボルトの軸力でガスケットに面圧をかけ、フランジ面の微細な凹凸をガスケットが埋めることで漏れを止めるというものです。したがって、面圧が足りなくても、かけ過ぎても漏れにつながります。
ガスケット選定の考え方

ガスケットは流体の種類・温度・圧力・フランジ面の形状に合わせて選びます。材質を誤ると、劣化による硬化や膨潤、流体との化学反応で早期に漏れが発生します。
選定時に確認したい項目は次のとおりです。
- 流体の種類(水・蒸気・油・薬品・ガスなど)と耐薬品性
- 使用温度と圧力の範囲
- フランジ面の形状(全面座か、ボルト穴の内側だけに当たる形か)とシール面の仕上げ
- 配管仕様書や設計図書で指定されたガスケット規格
一般に、水や温水の配管にはゴム系やジョイントシート系、蒸気や高温流体には耐熱性の高い材質が使われます。ただし、適した材質は流体条件で変わるため、具体的な選定は設計図書とメーカーの仕様に従ってください。また、使い回しは避けます。一度締め付けたガスケットは圧縮されて弾力を失っており、再使用すると密封性能が保てません。フランジを開放したら、ガスケットは新品に交換するのが原則です。
ボルト締付の手順と対角締め
フランジ漏れの大きな原因は、ボルトの締め方にあります。一本ずつ強く締めていくとフランジが傾き、ガスケットに偏った面圧がかかって隙間が生じます。基本は次の手順です。
- フランジ面とガスケット座面を清掃し、傷・錆・古いガスケットの残りがないか確認する
- 二枚のフランジの芯を合わせ、ガスケットが中央に位置するよう仮組みする
- ボルトとナットにねじ部の潤滑処理を行い、手で締められる範囲まで入れる
- 対角線上の順番(星形の順序)で、まず軽く均等に締める
- 同じ順序で締付力を段階的に上げていく
- 最後に、時計回りに全ボルトを順に回して締付力が揃っているか確認する
段階を分けるのは、ガスケット全周に均等な面圧をかけるためです。締付力は、フランジの規格・ボルトの径と材質・ガスケットの種類ごとに異なる数値が定められています。現場の感覚で決めず、メーカーの資料や社内の施工要領書に記載された値を、トルクレンチなどで管理するのが確実です。
よくある不具合と原因
フランジ接続のトラブルは、次のような症状として現れます。
- 締付直後や通水直後のにじみ・漏れ(面圧の不足、締付順序の誤り、ガスケットの位置ずれ)
- 運転後しばらくしてからの漏れ(ボルトの緩み、熱サイクルによるガスケットのへたり)
- 特定の一箇所だけ漏れる(フランジの芯ずれや面の傷、片締め)
- 繰り返し漏れる(材質の不適合、フランジ面の腐食、配管の支持不足による曲げ荷重)
配管の重量や振動をフランジ部が受けていると、いくら締めても再発しやすくなります。原因が接続部ではなく配管全体の支持や芯出しにある場合は、サポートの見直しから対応します。増し締めで一時的に収まっても、根本の要因が残っていれば再発する点に注意が必要です。
点検・保守での実務ポイント
定期点検では、外観確認を軸にします。
- フランジ周辺のにじみ、水滴、汚れ、錆の有無
- ボルトの緩み、ナットの回り止めの状態、ボルトの突き出し量の揃い
- ガスケットのはみ出しや変形
- 保温材の下に隠れた漏れの痕跡(保温材の濡れや変色)
分解整備を行う際は、ボルト・ナットの状態も見ます。腐食や、ねじ山の傷みがあるものは交換します。記録も重要で、いつ・どの順序と締付力で組み付けたかを残しておくと、再発時の原因切り分けが早くなります。工程の記録や検査の考え方は、配管工事の工程管理と品質検査でも取り上げています。フランジそのものの種類や他の継手との違いは、配管継手の種類と選び方を参考にしてください。
施工計画で見落としやすい点
新設や更新の計画段階では、次の点を確認しておくと現場でのやり直しを減らせます。
- フランジの規格(圧力区分・面の形状)が相手側の機器や既設配管と合っているか
- 締付作業に必要なスペース(工具を回せる余裕)が確保されているか
- 高所や狭所での作業手順と、作業中の安全対策
- 通水試験や耐圧試験の段取りと、漏れが見つかった際の増し締め・再組立ての手順
森工業では、工場・プラント・商業施設などの法人のお客様を対象に、配管の新設・更新・保守を承っています。フランジ部の漏れや配管更新のご相談は、お問い合わせフォームよりお寄せください。
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