
DIY配管工事は全部できるわけではない
インターネットやSNSで配管工事のDIY動画が増え、「自分でできそう」と感じる方も増えています。確かに、簡単な部品交換や道具の調整は自分で対応できる場合もあります。しかし配管工事には、資格のない者が作業してはいけない範囲が法律で定められており、違反すると罰則を受けるだけでなく、生命に関わる事故につながる恐れがあります。
本記事では、配管工事においてDIYが認められている範囲と禁止される範囲を、法令の根拠とともにわかりやすく解説します。
DIYで対応できる範囲

水回りのメンテナンスのうち、資格不要で対応可能なものには以下が挙げられます。
パッキン交換・シャワーヘッド交換 蛇口のパッキン(ゴムパーツ)交換やシャワーヘッドの付け替えは、既存の給水配管を切断・加工しないため、一般的にDIYで対応可能です。工具も市販品で十分で、ホームセンターで部材を調達できます。
排水口の清掃・部品交換 シンク下の排水トラップ清掃や、排水栓のゴムパーツ交換も資格は不要です。ただし排水管自体の切断や新設は別の話で、この場合は専門業者に依頼が必要です。
トイレタンク内部品交換 トイレタンク内のフロートバルブや止水栓のパッキン交換は、断水(止水栓を閉める)さえ行えば自分で作業できます。
絶対にDIYしてはいけない範囲
給水管の切断・新設(水道法違反)
水道法第16条の2および各自治体の給水条例(供給規程)に基づき、水道管の切断・接続・新設は指定給水装置工事事業者(指定業者)が行う必要があります。指定業者以外が施工した給水装置は、水道事業者から給水契約の申込みを拒まれたり、給水を停止されたりする場合があります(水道法第16条の2第3項)。「罰則」が具体的にどうなるのかは誤解の多いところなので、後段の「無資格で施工した場合の『罰則』は実際どうなるのか」で条文に沿って整理します。
また指定業者以外が行った工事は、水道局から給水停止を命じられるケースもあります。実害として、不適切な接続によるバクテリア汚染が引き起こした水道水汚染事故は全国で報告されています。
ガス配管工事(ガス事業法・液石法違反)
都市ガスおよびLPガスの配管工事は、それぞれガス工事士(甲種・乙種)の資格が必須です。無資格での施工はガス事業法違反にあたり、最悪の場合ガス漏れ・爆発事故に直結します。
「ガスメーターの下流側だから問題ない」と誤解する方もいますが、メーター以降の配管も同様に資格が必要です。自分でガス管を接続・移動することは絶対にやめてください。
排水管の新設・位置変更
排水管を建物内外で新設したり、既存の位置を変えたりする工事も、実質的には専門業者が担う領域です。適切な勾配(100分の1〜50分の1)が確保されないと、配管内に汚水が滞留して悪臭・つまりが発生します。さらに、建築基準法の規定(下水道法に準拠した排水設備基準)に違反した設備は、違反是正を求められることがあります。
スプリンクラー・消防設備関連
スプリンクラー配管など消防法に基づく設備は、消防設備士(甲種1類)の資格が必要です。点検・工事ともに無資格作業は消防法違反となります。
DIYした場合の実際のリスク
保険が適用されない 火災保険・個人賠償責任保険において、「無資格者が行った工事に起因する漏水・事故」は補償対象外となる場合がほとんどです。自分でやった工事が原因で階下に漏水被害を出した場合、全額自己負担となる可能性があります。
不具合が保証されない 無資格工事で後から問題が発生しても、メーカー保証もなく、専門業者が修理を引き受けにくい場合があります。「DIYしたところ」を正規の工事に戻すには、場合によって全て解体し直す費用が発生します。
マンションでは管理規約違反 分譲・賃貸を問わず、多くのマンションの管理規約では「専有部内であっても配管工事は指定業者または管理組合が認めた業者に依頼すること」と定めています。自己判断でのDIY工事は規約違反となり、損害賠償請求を受けるケースがあります。
「ここまでならDIY」の判断基準
以下を基準に判断するとわかりやすいです。
| 作業内容 | DIY可否 |
|---|---|
| パッキン・シール交換 | 可 |
| シャワーヘッド・蛇口ヘッド交換 | 可 |
| トイレタンク内部品交換 | 可 |
| 洗面台ホースの接続(既存同形状への交換) | 条件付き可 |
| 給水管の切断・延長・新設 | 不可(要指定業者) |
| ガス配管の切断・接続・延長 | 不可(要ガス工事士) |
| 排水管の新設・勾配変更 | 不可(専門業者推奨) |
| スプリンクラー・消防設備 | 不可(要消防設備士) |
無資格で施工した場合の「罰則」は実際どうなるのか
「無資格で水道工事をすると罰金」という説明をよく見かけますが、水道法の条文を確認すると実態は少し違います。順に整理します。
水道法の罰則章に「無指定で施工した個人を罰する」規定はない
水道法の罰則は第九章(第51条〜第57条)にまとまっていますが、この中に第16条の2(指定給水装置工事事業者)に違反したことを理由に個人を処罰する条項はありません。罰則の対象は、無認可での水道事業経営や、水質検査を行わなかった事業者など、主に事業者側の義務違反です。
実際に効いてくるのは「罰則」ではなく給水停止
無指定業者の工事で不利益が生じるのは、罰則ではなく給水を止められるという形です。水道法第16条の2第3項は、給水装置が水道事業者または指定給水装置工事事業者の施行した工事に係るものでないときは、供給規程の定めるところにより給水契約の申込みを拒み、または給水を停止することができると定めています。
つまり「罰金を取られる」のではなく、「水が使えなくなる・新規に引けなくなる」という形で跳ね返ってきます。実務上はこちらのほうが重い結果になることも珍しくありません。
どこまでが「軽微な変更」として認められるか
第16条の2第3項にはただし書きがあり、国土交通省令で定める軽微な変更は対象外とされています。その中身は水道法施行規則第13条に定義されています。
> 法第十六条の二第三項の国土交通省令で定める給水装置の軽微な変更は、単独水栓の取替え及び補修並びにこま、パッキン等給水装置の末端に設置される給水用具の部品の取替え(配管を伴わないものに限る。)とする。
判断の分かれ目は末尾の「配管を伴わないものに限る」です。単独水栓の取替えやこま・パッキンの交換は軽微な変更に当たりますが、配管そのものに手を入れた時点で軽微な変更ではなくなります。本記事の可否表もこの線引きに沿っています。
刑事罰が現実に問題になるのは「水道施設を壊したとき」
一方で、作業が配水管など水道施設そのものに及んだ場合は話が別です。水道法第51条第1項は、水道施設を損壊するなどして水の供給を妨害した者を5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定めています(同条第2項は、みだりに水道施設を操作して供給を妨害した場合で2年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)。道路下の本管に無断で手を出すようなケースは、この条文に触れ得ます。
なお条文上の刑名は「懲役」ではなく拘禁刑です。古い解説記事では「懲役」と書かれていることがありますが、現行条文の表記は拘禁刑に変わっています。
自治体の給水条例は別途確認を
以上は水道法の話です。給水装置工事の届出義務違反などについて、各自治体の給水条例で過料などが独自に定められている場合があります。実際に工事を検討する際は、お住まいの地域の水道事業者(仙台市であれば仙台市水道局)の供給規程・給水条例もあわせてご確認ください。
困ったときは専門業者への相談が最善
「この程度ならDIYでできそう」と思えても、水道・ガス・消防設備の分野では一歩踏み込んだ瞬間に法律違反になるケースがあります。作業をためらった場合は、まず専門業者に相談するのが最善です。
森工業では、DIYで対応できるのか、業者に依頼すべきかを無料でアドバイスしています。宮城県・仙台市を中心に給排水・ガス・設備工事の実績を積み重ねていますので、水回りのことならお気軽にご連絡ください。
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