
排水に油や砂、毛髪などが混じる施設では、配管の詰まりや損傷を防ぐために阻集器を設けます。飲食店のグリース阻集器(グリーストラップ)が代表ですが、給油所や整備工場、理美容室、歯科技工室などでは別の種類が使われます。この記事では、建築基準法の告示が定める阻集器の要件と、オイル・毛髪・砂・プラスタ阻集器の役割、設置と維持管理の注意点を整理します。
告示が定める阻集器の要件
建築物の排水の配管設備の構造は、昭和50年建設省告示第1597号で定められています。阻集器については次の3点です。
- 汚水が油脂、ガソリン、土砂その他、排水の配管設備の機能を著しく妨げ、または損傷するおそれがある物を含む場合は、有効な位置に阻集器を設ける
- 汚水から油脂、ガソリン、土砂などを有効に分離できる構造とする
- 容易に掃除ができる構造とする
同じ告示は排水トラップについて、二重トラップとならないように設けることや、トラップの深さを5センチメートル以上10センチメートル以下(阻集器を兼ねる排水トラップは5センチメートル以上)とすることも定めています。
出典: 国土交通省 建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造方法を定める件(昭和50年建設省告示第1597号)
阻集器の種類と設置場所

阻集器の種類は、自治体が公開している排水設備の資料で整理されています。ここでは愛知県東海市の資料(第3章 排水設備)を例に紹介します。
- オイル阻集器: ガソリン供給所・給油場、ガソリンを貯蔵するガレージ、可燃性溶剤や揮発性の液体を製造・使用する工場、自動車整備工場など機械油が流れ出る事業場に設ける。ガソリンや油類を水面に浮かべて除去し、悪臭や爆発事故を防ぐ。通気管は他の通気管と兼用せず独立させる
- サンド阻集器(砂阻集器): 排水に泥や砂を多く含むときに設ける。同資料では底部の泥だめの深さを150ミリメートル以上としている
- ヘア阻集器(毛髪阻集器): 理髪店・美容院の洗髪器に取り付け、毛髪が排水管へ流れ込むのを防ぐ。プールや公衆浴場には大型のものを設ける
- プラスタ阻集器: 外科のギプス室や歯科技工室などの排水に含まれる石こうなどの不溶性の物を分離する。プラスタは排水管に入ると管壁に付着して固まり、容易に取れなくなる
- ランドリー阻集器: 営業用洗濯場の排水に含まれる糸くず・布くず・ボタンなどを、取り外しできるかご形のスクリーンで分ける
厨房の油脂を分けるグリース阻集器の容量選定や清掃は、グリーストラップの容量選定・清掃周期ガイドで解説しています。
設置するときの注意点
同じ資料は、設置の留意点として次の点を挙げています。
- 使用目的に合った阻集器を、維持管理しやすく、対象物を出す器具のできるだけ近くに設ける
- 分離が必要な排水以外を混ぜない
- 保守・点検が容易な構造とし、材質はステンレスや樹脂など水を通さず腐食に強いものとする
- 密閉ふたを使う場合は、適切に通気がとれる構造とする
- 阻集器は原則としてトラップの機能をもつため、器具トラップをつないで二重トラップにならないよう注意する
二重トラップの不具合やトラップの種類は、排水トラップの種類と仕組みで解説しています。
製品の選び方
国の公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)で独立した項目があるのはグリース阻集器で、工場製作品で実容量1,000リットル以下のものはSHASE-S 217への適合と、日本阻集器工業会の認定証票が貼られていることを求めています。オイル・砂・毛髪・プラスタの各阻集器は、設計図書で指定された仕様とメーカーの製品から選ぶことになります。たとえばダイドレの製品情報では、阻集器としてグリーストラップ、オイル(ガソリン)トラップ、プラスタトラップが分類されており、プラスタトラップにはステンレス製・FRP製・鋳鉄製があります。設置場所の荷重や排水量、清掃のしやすさにあわせて形式を選びます。
維持管理
東海市の資料は、阻集器にたまった油や可燃性の廃液、土砂などは定期的(通常1週間に1回程度)に除去し、取り除いたごみ・汚泥・廃油は廃棄物の処理及び清掃に関する法律などにしたがって処分するとしています。清掃の頻度や設置の基準は自治体によって異なるため、仙台市など施工地の下水道の担当窓口が示す基準を確かめてください。排水の水質が下水道の基準を超えるおそれがある事業場では、下水道法の除害施設が必要になる場合もあり、除害施設とは(下水道法の特定施設と届出)で解説しています。
森工業は、店舗・工場など法人・事業者様の給排水設備工事を承っています。阻集器の新設や更新のご相談は、お問い合わせフォームよりお寄せください。
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