
グリーストラップとは|飲食店の必須設備
グリーストラップは、飲食店・食堂・給食施設の厨房から排出される油分・食材残さを捕捉する設備です。下水道本管への流入を防ぎ、下水処理場での機械トラブル・悪臭・堆積を回避するために、多くの飲食施設で設置が求められています。設置義務の有無や具体的な基準は、所管の下水道事業者・自治体の条例・保健所の指導によって異なるため、開業地の窓口でご確認ください。
グリーストラップの設置や排水基準を満たさない場合、保健所の営業許可審査で指摘を受けたり、下水道局からの改善勧告を受けたりすることがあります。特に新規開業時は、設置工事と容量設定が最初の重要な判断になります。
容量不足のグリーストラップは、3〜5日で満杯になり、週単位での清掃が必要になるため、ランニングコストが大きく膨らみます。逆に過度に大きいトラップを選ぶと、初期投資が無駄になります。本ガイドでは、飲食店の営業規模に応じた容量選定の計算方法、清掃周期の決め方、点検義務と法定要件をわかりやすく解説します。
グリーストラップの容量計算|営業規模別の選定方法

グリーストラップの容量は、営業規模(席数・調理場の規模)と調理方式で決まります。以下の計算式と選定チャートで、自分の飲食店に適切な容量を判定できます。
容量計算式
標準的な計算方法は以下の通りです。
必要容量(リットル)= 1日あたりの排水量(L)× 清掃周期(日数)
1日あたりの排水量の推定
- カウンター・小規模飲食店(席数5〜15席):50〜100L/日
- 中規模飲食店・食堂(席数20〜50席):150〜300L/日
- 大規模食堂・給食施設(席数80〜200席):400〜800L/日
- 焼肉・揚げ物中心の高油分店舗:上記から+20〜30%増し
- 和食・低油分店舗:上記から−10〜15%減
清掃周期別の容量推奨値
標準的には「週1回清掃」を前提に、以下の容量を選定します。
| 営業規模 | 清掃頻度 | 推奨容量 | 参考料金帯 |
|---|---|---|---|
| 小規模(5〜15席) | 週1回 | 200〜400L | 15〜35万円 |
| 中規模(20〜50席) | 週1〜2回 | 500〜1000L | 35〜80万円 |
| 大規模(80〜200席) | 週2回 | 1500〜3000L | 80〜150万円 |
| 焼肉・揚げ物専門 | 毎日〜2日ごと | +30%容量増 | −− |
容量が不足すると、清掃間隔がどんどん短くなり、週3〜4回以上の清掃が必要になり、ランニングコストが月5〜15万円に跳ね上がる危険性があります。
グリーストラップの構造と清掃の仕組み
グリーストラップの内部は、一般的に3つのチャンバー(室)に分かれています。
第1チャンバー(粗分離室)
排水が最初に流入する室です。油脂や大きな食材残さが沈殿・浮遊しやすいよう設計されています。ここで粗い汚れを落とすことで、下流への負荷を軽減します。
第2チャンバー(微細分離室)
第1チャンバーから流れ込んだ排水が、さらに細かい油脂粒を沈殿させるための室です。第1室で取り切れなかった微細な油分や食材を重力沈殿で分離します。
第3チャンバー(越流室)
最終段の排水が下水道本管へ流出する前に、一度ためられる室です。この室で最後の沈殿を行い、清澄な排水だけが本管へ流れる仕組みになっています。
清掃フロー
定期清掃では、第1・2チャンバーの堆積物(スラッジ)と浮上油を吸引・汲み出します。一般的な清掃業者は、高圧洗浄車で各室を吸い上げ、収集・処分します。処分費用は宮城県内で1回あたり8,000円〜15,000円が相場です。
グリーストラップの清掃周期|実務的な判定方法
容量が決まったら、次は清掃周期を確定させることが重要です。法定義務と実務的な運用は異なるため、注意が必要です。
法定点検義務
グリーストラップの点検・清掃の頻度や記録の取り扱いは、各自治体の下水道条例や排水設備の基準で定められている場合があります。施設の規模や容量によって求められる点検・清掃の頻度が異なることもあるため、具体的な義務内容は所管の下水道事業者・自治体の窓口や条例でご確認ください。
そのうえで、実務的には以下の基準で判断することが多いです。
実務的な清掃周期の決定方法
ステップ1: グリーストラップを開けて、内部の堆積状況を確認
最初の2〜4週間は、毎週チェックして、堆積が容量の何%に達するかを記録します。その成長率から、満杯になる日数を逆算します。
ステップ2: 満杯の70〜80%に達する前に清掃のスケジュール
容量が300Lのトラップで、3週間で容量の70%まで堆積する場合、「週1回清掃」が目安になります。
ステップ3: 季節変動を考慮
- 冬場:油脂が冷えて固化しやすく、沈殿速度が上がるため、清掃頻度を増やす(週1.5回、など)
- 夏場:油脂が液状で流出しやすく、沈殿が遅くなることもあるため、清掃頻度を減らせる場合もある
- 繁忙期(年末・お正月):営業日が増えると、清掃を短縮化
実運用のコスト試算
| 清掃頻度 | 月の清掃回数 | 月額清掃費(@1.2万円/回) | 年額 |
|---|---|---|---|
| 週1回 | 4回 | 48,000円 | 576,000円 |
| 週2回 | 8回 | 96,000円 | 1,152,000円 |
| 毎日 | 26回 | 312,000円 | 3,744,000円 |
清掃頻度が増えると、ランニングコストが大きく膨れ上がるため、初期段階で容量を過度に小さく設定するのは避けべき判断です。
グリーストラップの設置・交換工事
新規設置または古いトラップの交換が必要な場合、工事費用と手続きをおさえておきましょう。
新規設置工事の流れ
ステップ1: 厨房レイアウト・排水配管の確認
施工業者が現地で、コンロ・フライヤー・食器洗浄機などの排水を集約する位置を検討します。床下・床上・戸外など、どこに設置するかで工事費用が大きく変わります。
ステップ2: 容量設計・取付位置の確定
営業形態(焼肉か和食か)、席数、調理量を聞き取り、グリーストラップの容量と機種を決定します。
ステップ3: 工事実施
既存配管の切り直し・新規配管の敷設、トラップ本体の設置、排水テスト、竣工検査までを実施します。
設置工事の費用相場(宮城県内)
| 容量 | 機器代 | 工事費(配管改造含む) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 200〜400L | 12〜25万円 | 8〜15万円 | 20〜40万円 |
| 500〜1000L | 25〜50万円 | 15〜30万円 | 40〜80万円 |
| 1500〜3000L | 50〜120万円 | 30〜60万円 | 80〜180万円 |
床下設置より床上設置の方が工事費が安く、屋外埋設型は最も工事費が高くなります。
既設トラップからの交換工事
古いトラップを撤去・処分し、新しい容量のものに入れ替える場合、撤去費5〜10万円 + 新規工事費が加算されます。
グリーストラップの劣化・故障サイン
定期的な点検で以下の劣化が見つかったら、交換・修理のタイミングです。
下水から悪臭が上がってくる
破裂・ひび・接合部の劣化で、悪臭が逆流する場合があります。特に地下設置型で20年以上経過したトラップでは、コンクリート製の場合、内部の鉄筋が錆びて膨張し、ひびが生じるリスクが高まります。
排水が逆流・滞留する
内部の隔壁パイプが破損・詰まって、第1室から第2室への流れが悪くなる場合があります。高圧洗浄でも改善しない場合は、トラップ本体の交換が必要です。
地盤沈下・傾き
埋設型トラップが地盤沈下で傾くと、堆積物が適切に沈殿しなくなり、清掃の効率が落ちます。また、配管の接続部に応力がかかり、破損リスクが高まります。
蚊・ユスリカなどの発生
トラップの蓋が破損したり、通気孔が詰まったりしていないか確認します。放置すると、ハエ・蚊の大量発生につながります。
グリーストラップの法定義務と下水道局の指導
下水道条例違反として指導を受けると、営業に支障をきたす可能性があります。確認しておくべき法定要件を整理します。
宮城県・仙台市の主な義務
- 定期清掃と清掃記録の保管:清掃日、清掃量、処分業者名などを記録・保管(保存期間は自治体の条例によって定められている場合があるため、所管窓口でご確認ください)
- 点検結果の報告:グリーストラップの点検結果を所管部門に定期報告するよう求める自治体もあり
- 施設の安全管理:清掃時のメタンガス発生などの安全措置
放置・未清掃の場合のリスク
- 下水道局からの改善勧告
- 下水処理場への悪影響(ポンプ詰まり、処理コスト増)による他利用者への迷惑
- 営業許可の更新時に指摘(食品衛生法)
- 最悪の場合、営業停止・取消
グリーストラップの廃止・撤去が可能な場合
接続する下水道本管が十分に大口径で、流域内に大型グリーストラップを集中管理する自治体の施設がある場合などに、個別トラップの廃止が認められるケースがあります。これは、個別トラップの清掃負担を減らし、集中処理に移行する動きです。ただし、廃止の可否や手続き・負担金の要否は自治体・所管下水道部門の取り扱いによって異なるため、検討時には必ず所管窓口へご確認ください。
新しく開業する場合や、トラップ廃止を検討している場合は、事前に仙台市水道局などの下水道部門に相談しておきましょう。
飲食店のグリーストラップ選定・清掃 よくある質問
Q. グリーストラップなしで営業することはできますか?
法令上、飲食店にはグリーストラップの設置が義務付けられています。カフェ・弁当屋など、油を使わない店舗でも、食器洗浄・調理排水を考慮すると、簡易型でも最小限の設置が必要です。保健所の営業許可審査で必ず確認されるため、未設置での営業開始は認められません。
Q. 清掃費用が安い業者と高い業者の違いは何ですか?
宮城県内の清掃料金の相場は1回8,000〜15,000円です。安い業者(5,000円以下)の場合、①処分費が過度に安い、②浅い清掃のみで完全には吸引していない、③廃油を不適切に処分している、などのリスクがあります。適切な清掃と廃油処分をしている業者を継続利用することが、トラップの長寿命化と下水道トラブル防止に結びつきます。
Q. グリーストラップの清掃を先延ばしにしてもいいですか?
清掃周期を大幅に超えると、以下のトラブルが起きやすくなります。①排水の逆流・悪臭、②厨房床の水はけ悪化、③下水道本管への油分流出(他店舗の配管も詰まらせる可能性)、④下水道局からの指導。さらに、トラップ内のヘドロが固化すると、清掃費用が通常の2倍以上に跳ね上がることもあります。定期清掃は必須です。
Q. 新規開業時、グリーストラップの容量が不明な場合、どうすればいいですか?
容量選定のコンサルティングは、給排水工事業者が無料で対応することが多いです。営業形態(焼肉か和食か)、開店予定日、席数を伝えれば、適切な容量を提案してもらえます。森工業でも新規飲食店のグリーストラップ設計・施工を承っております。お気軽にご相談ください。
Q. 既存店舗の清掃が追いつかない場合、トラップを大きくすることはできますか?
既存の厨房スペースに収まるトラップの容量には制限があります。床上設置スペースが限定的な場合、②複数の小型トラップを並列設置、③容量の大きい埋設型への交換(床工事が必要)、④清掃頻度を増やす、などの選択肢があります。工事業者に相談して、最適な解決策を探ることをお勧めします。
森工業株式会社では、飲食店・食堂・給食施設のグリーストラップ設置・交換・清掃手配を、設計段階から施工・ランニング管理まで一括でサポートしております。新規開業、既存施設の改善、清掃業者との調整など、配管に関するお困りごとは、お気軽にお問い合わせください。
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