
公共下水道が整備されて使えるようになった区域では、浄化槽を使っている建物も、下水道へ切り替えて接続することになります。切り替えでは、宅内の排水管を公共汚水桝につなぐ排水設備の工事に加えて、浄化槽の清掃や本体の扱い、廃止の届出といった浄化槽ならではの手続きが加わります。この記事では、接続の期限、切り替えの手順と届出、費用を左右する条件、仙台市の融資あっせんを、法令と市の案内で確かめられる範囲で解説します。
下水道が使えるようになったら浄化槽の建物も接続する
下水道法は、公共下水道の供用が開始された場合、その排水区域内の土地の所有者・使用者・占有者は、遅滞なく、下水を公共下水道に流すための排水設備を設置しなければならないとしています。建物の敷地では、設置するのは建物の所有者です。特別の事情で公共下水道管理者の許可を受けた場合などは除かれます(下水道法第10条)。
期限を具体的に定めている市町村もあります。仙台市は、家庭内から流される汚水の排水設備工事と、浄化槽の廃止(公共下水道への切り替え接続工事)をいずれも3か月以内、汲み取り便所の水洗便所への改造を3年以内としています(仙台市「一日も早く水洗化を」。下水道法第10条・第11条の3、仙台市下水道条例第3条)。他の市町村の期限は、各市町村の下水道の窓口で確かめてください。接続しないままにした場合の扱いは下水道整備後の接続義務期間ガイドでも解説しています。
切り替えの手順と浄化槽の届出

浄化槽から下水道へ切り替える時の大まかな手順は次のとおりです。
- 接続できるかを確かめる:建物が排水区域に入っているか、敷地の境界付近に公共汚水桝が設けられているかを市町村で確かめます。公共汚水桝については公共桝の設置・接続方法ガイドで解説しています。
- 排水設備の工事を申し込む:工事を行える業者は市町村が定めています。仙台市では、公認の排水設備工事業者(公認業者)以外は水洗化工事を行えません(同頁)。
- 宅内の排水管を付け替える:浄化槽に流れ込んでいた排水管を、公共汚水桝へ向かう排水管につなぎ替えます。
- 浄化槽の使用をやめ、清掃する:槽内に残った汚泥などを引き抜きます。浄化槽の清掃を業として行うには、区域を管轄する市町村長の許可が要ります(浄化槽法第35条)。
- 槽本体の扱いを決める:本体を撤去するか、撤去せずに残す場合にどう処置するかは、市町村の取扱いや、建て替え・売却の予定など敷地の事情で決めます。工事の前に市町村に確かめておきます。
- 浄化槽の廃止を届け出る:浄化槽管理者は、使用を廃止した日から30日以内に、都道府県知事(保健所を設置する市では市長)に届け出なければなりません(浄化槽法第11条の3)。
申請・施工・検査を含む接続工事の全体の流れは下水道接続工事の流れと費用を左右する条件で詳しく解説しています。
単独処理浄化槽・汲み取りから切り替える時に増える工事
今の設備の種類によって、切り替えで加わる工事が変わります。
| 今の設備 | 処理している排水 | 切り替えで加わりやすい工事 |
|---|---|---|
| 合併処理浄化槽 | し尿と生活雑排水 | 浄化槽への流入管を公共汚水桝へ付け替える工事 |
| 単独処理浄化槽(みなし浄化槽) | し尿だけ | 台所・浴室などの雑排水の系統も公共汚水桝へ付け替える工事 |
| 汲み取り便所 | 処理していない | 水洗便所への改造と、便所の排水管の新設 |
単独処理浄化槽は、平成13年4月1日に施行された浄化槽法の改正の後は新しく設置できなくなり、改正の時点で設置されていたものは浄化槽とみなされています(浄化槽法第3条の2、平成12年法律第106号 附則第2条)。下水道法の「下水」には生活に起因する廃水(汚水)が含まれるため(下水道法第2条第1号)、単独処理浄化槽を通らずに流れていた雑排水も、切り替えでは公共下水道へ流す系統に付け替えます。汲み取り便所がある建物は、下水の処理を始める日として公示された日から3年以内に、便所を水洗便所に改造しなければなりません(下水道法第11条の3)。単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の違いは合併処理浄化槽と単独処理浄化槽の違いで解説しています。
費用を左右する条件
浄化槽から下水道への切り替えの費用は、建物と敷地の条件で大きく変わるため、一律の相場はありません。見積もりでは、次の条件が費用にどう響いているかを確かめます。
- 建物から公共汚水桝までの配管ルートの長さ・深さと、掘削・舗装の復旧の範囲
- 付け替える排水の系統の数(単独処理浄化槽・汲み取りからの切り替えでは増える)
- 浄化槽の大きさと埋設の状況、本体を撤去するか残すか
- 汚泥の引き抜き・清掃の量
- 汲み取り便所の水洗化に伴う便器の交換や、床・内装の工事
また、浄化槽を使い続ける間は、毎年の保守点検と清掃(浄化槽法第10条)と、毎年1回の指定検査機関による水質検査(同法第11条)が続きます。下水道に接続した後は、公共下水道管理者が条例で定める下水道の使用料がかかります(下水道法第20条)。切り替えを判断する時は、工事の見積もりに加えて、こうした続く負担も並べて比べると判断しやすくなります。浄化槽の維持管理の中身は浄化槽の仕組みと維持管理で解説しています。
仙台市の水洗化工事資金の融資あっせん
下水道法は、市町村に、汲み取り便所を水洗便所に改造しようとする人への資金の融通やそのあっせんなどの援助に努めるよう求めています(下水道法第11条の3第5項)。仙台市は、浄化槽の切替えや汲み取り便所の改造の工事に、水洗化工事資金の融資あっせんを設けています(仙台市「一日も早く水洗化を」)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | くみ取り改造・浄化槽切替え工事を行う住宅(店舗兼用可)の所有者、または家主の承諾を得た借家人で、税の滞納などのない人(法人は除く)。市内に住み市県民税(所得割)を納めている保証人1名が必要 |
| 限度額 | 浄化槽を設置している家屋・アパート・借家は50万円 |
| 利子 | 無利子(仙台市が負担) |
| 返済 | 36か月以内の分割払い |
| 手続き | 公認業者が代行 |
融資あっせんは、返さなくてよい補助金ではなく、借りたお金を分割で返す制度です。法人は対象から除かれています。仙台市以外の市町村の補助・融資の有無と条件は、各市町村の下水道の窓口で工事の前に確かめてください。
法人の建物で切り替える時に確かめること
事業所・店舗・賃貸住宅など法人が持つ建物では、次の点もあわせて確かめておくと工程を組みやすくなります。
- 工事中に排水を止める時間と、営業や入居者への影響
- 浄化槽の保守点検・清掃を委託している場合の、廃止に合わせた委託の終わり方(大きな規模の浄化槽では技術管理者を置いている。浄化槽法第10条第2項)
- 仙台市の融資あっせんは法人を除くため、資金の手当てを別に考えること
- 工事を行える業者(指定・公認)の要件を、所在地の市町村で確かめること
森工業へのご相談
森工業は法人・事業者様専門で、工場・店舗・賃貸物件などの排水設備工事・公共下水道への接続工事に対応しており、排水設備工事責任技術者が在籍しています(個人宅の工事は対象外です)。接続の期限や工事を行える業者の要件、補助・融資の有無は市町村ごとに異なるため、所在地の窓口で確かめたうえで、切り替え工事のご相談はお問い合わせフォームよりお寄せください。
よくある質問
Q. 浄化槽から下水道への切り替え費用は総額いくらですか?
A. 建物から公共汚水桝までの配管ルートの長さ・深さ、付け替える排水の系統の数、浄化槽の大きさと埋設の状況、本体を撤去するか残すか、汲み取り便所の水洗化の有無で大きく変わるため、一律の相場はありません。現地調査のうえで見積もりを取り、これらの条件が費用にどう響いているかを確かめてください。
Q. 切り替えの補助金はいくらもらえますか?
A. 補助や融資の有無と条件は市町村ごとに異なります。仙台市では、浄化槽の切替えや汲み取り便所の改造の工事を行う住宅の所有者など(法人は除く)を対象に、水洗化工事資金の無利子の融資あっせんがあり、浄化槽を設置している家屋・アパート・借家の限度額は50万円、返済は36か月以内の分割払いです。補助金ではなく返済が要る制度です。他の市町村は工事の前に下水道の窓口で確かめてください。
Q. 浄化槽は必ず撤去しなければいけませんか?
A. 浄化槽法は、浄化槽管理者に、使用を廃止した日から30日以内に都道府県知事(保健所を設置する市では市長)へ廃止を届け出ることを求めています(第11条の3)。槽内の汚泥は清掃して引き抜きます。本体を撤去するか、撤去せずに残す場合にどう処置するかは、市町村の取扱いや建て替え・売却の予定などで決まるため、工事の前に市町村に確かめてください。
Q. 下水道が通ったらいつまでに接続する必要がありますか?
A. 下水道法は、公共下水道の供用が開始されたら遅滞なく排水設備を設置するよう定め(第10条)、汲み取り便所は下水の処理を始める日として公示された日から3年以内に水洗便所に改造するよう定めています(第11条の3)。具体的な期限を条例で定めている市町村もあり、仙台市は排水設備工事と浄化槽の廃止(切り替え接続工事)を3か月以内、汲み取り便所の改造を3年以内としています。
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