
PFOS/PFOAとは|新しい水質基準の背景
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、「永遠の化学物質」と呼ばれる合成化学物質です。撥水性・撥油性に優れているため、テフロン加工やポリウレタンコーティング、フッ素系防水・防汚剤など、工業用途で広く使用されてきました。しかし、環境中で分解されにくく、人体や動物の体内に蓄積しやすい性質が問題視されています。
2023年、日本は「PFOS・PFOA及びその塩並びにPFOSを含む化学物質」をストックホルム条約の附属書に追加し、国際的な規制動向に合わせました。これを受けて、厚生労働省は飲料水の水質基準を段階的に強化する方針を示しており、2026年から新しい暫定値が適用される予定です。
日本の新しい水質基準と実施スケジュール

2026年時点で、日本の飲料水に関するPFOS/PFOA基準は次のように段階化されます:
第1段階(2026年):暫定値として目標値が設定される見通しです。個別の化学物質ではなく、PFOS、PFOA、PFOSA(PFOS関連物質)の合算値で管理される可能性が高いと考えられています。
第2段階以降:国際的な水質基準の動向や国内の検査データを踏まえ、さらに厳格化される見込みです。欧州では既にPFOS/PFOA合計値4ng/L以下という厳しい基準が設定されており、日本もこれに近い水準へ収束する可能性があります。
これらの基準は公営水道のみならず、私営の井戸水や受水槽を利用する事業所にも影響を及ぼします。配管内部の腐食や劣化が原因で化学物質が溶出するリスクも考慮されるため、既存給水装置の総点検が事実上の要件となりつつあります。
家庭・事業所への具体的な影響
家庭への影響:多くの一般住宅は公営水道から給水されているため、水道局の対応により浄化処理がなされる可能性が高いです。ただし、築30年以上の老朽給水管や、特定の配管部品(一部の古い黄銅製止水栓など)から鉛や重金属が溶出するリスクと同様に、PFOS/PFOA対応も「予防的な管更新」として検討されるようになります。
事業所(工場・飲食店・医療機関など)への影響:私営井戸水を利用している場合、事業者自らが水質検査と浄化対策の責任を負います。装置導入から保守管理まで、コスト負担が増加する可能性があります。また、食品製造業や医薬品関連では顧客からの水質証明要求が増すと予想されます。
既存配管の点検と交換が必要な理由
配管内部が劣化すると、次のような経路でPFOS/PFOA含む有害物質が水に溶出します:
1. 配管材料そのもの:一部の古い防食被覆材やシール剤に、フッ素系の成分が使用されていた可能性があります。
2. 接続部品(弁・継手・止水栓):特に1980年代~2000年代前半の黄銅製止水栓には、性能維持のため様々な鉛やカドミウムが含まれていました。新基準ではこれらの一掃が推奨されます。
3. 腐食による孔食:配管が内部から腐食すると、微細な亀裂が生じ、周囲からPFOS/PFOAを含む地下水が浸入するリスクが高まります。
点検は年1~2回程度の頻度で、配管内部のスコープ検査と水質抜き取り検査を組み合わせて実施するのが効果的です。
配管部品の選定と対応ステップ
ステップ1:現状把握(2026年上半期が目安)
- 給水管の材質確認(鋼管、銅管、樹脂管など)
- 建築完了年月の確認
- 既存の検査・修繕履歴の収集
ステップ2:水質検査の実施
- PFOS/PFOA濃度の実測
- 同時に鉛・カドミウムなど従来基準も確認
ステップ3:部品更新の検討
- 交換対象:樹脂製継手(耐食性が高い)への統一
- 止水栓の鉛フリー化
- 逆流防止弁など補助装置の最新化
- 部品選定時は製造年月と製品認証(JIS規格・WaterMark等)を確認
ステップ4:計画立案と実施
- 全面更新か段階的対応かの判断
- 工事時期の検討(夏季・冬季の水需要変動を配慮)
- 工事後の再検査で効果測定
交換部品の購入時には、メーカーのカタログで「PFOS/PFOA溶出実績なし」「環境配慮製品」の表示を確認することが重要です。また、工事業者が各部品の互換性を正確に判定する必要があるため、事前相談が不可欠です。
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