
スロップシンクとは
スロップシンク(slop sink)とは、汚物・汚水・モップ洗浄水などを廃棄するための専用のシンク(流し台)のことです。日本語では「汚物流し」「モップシンク」とも呼ばれます。通常の洗面台や台所シンクと異なり、大きめのボウルと低い設置高さ(または床置き型)が特徴で、清掃用品のすすぎや医療・介護現場での汚物処理に使われます。
一般の洗面台や台所シンクは皮膚に触れる用途や食器洗いを想定して作られているため、汚水や消毒液を日常的に流す用途には向きません。スロップシンクは深めのボウルと耐薬品性を意識した仕上げにより、モップやバケツの洗浄水、失禁関連の処理水などを他の水回りと切り離して扱えるよう設計されています。設置場所としては、多目的トイレの近く、汚物処理室、清掃員の控室などが選ばれることが多くなっています。
病院・介護施設・福祉施設では建築基準法や各種施設整備基準によって設置が義務付けられているケースもあります。また、マンションの共用部(清掃員用スペース)や商業施設のバックヤードでも需要があります。
スロップシンク設置に必要な配管工事

給水配管
スロップシンクには冷水のみ供給するタイプと、温冷水切替の混合栓付きタイプがあります。
配管材質はポリ管(架橋ポリエチレン管・ポリブテン管)または塩ビ管(VP管)が一般的です。消毒液や洗剤を頻繁に使用する場所であることから、耐薬品性・耐食性に優れた材質を選定し、経年劣化による水漏れを防ぐことも大切です。また、汚水や薬液を扱う器具であるため、上水系統への逆流を防ぐ配慮が求められます。止水栓は点検・修理の際に他の系統を止めずに単独で止水できる位置に設けておくと、後々のメンテナンスがしやすくなります。
排水配管
スロップシンクの排水は雑排水系統(汚水と合流または別系統)に接続します。
- 排水トラップ: 臭気遮断のために必ずトラップ付き排水ソケットを使用します。一般的にはP型またはS型トラップが使用されますが、医療施設ではトラップ封水の維持が特に重要です
- 排水管径: 床置き型の場合はΦ75以上の排水管を使用することが多く、壁排水型はΦ50が一般的です
- 勾配の確保: 汚物が流れやすいよう1/50〜1/100の排水勾配を確保します
汚物流し専用のトラップは、固形物や大量の水が一度に流れ込んでも排水能力が不足しないよう、比較的大容量のものが選ばれる傾向があります。清掃・点検のしやすさを考慮し、トラップ部分やその手前に点検口を設けておくと、詰まりが起きた際の対応がスムーズになります。
通気配管
排水系統の通気が不十分だと封水が破られ悪臭が発生します。スロップシンク専用の通気ループを設けるか、既存の通気管系統に接続する設計が必要です。通気管が適切に機能していない状態で大量に排水すると、配管内が瞬間的に負圧となり、封水が引き込まれてしまうことがあります。これにより悪臭が室内側に逆流するおそれがあるため、まとまった量の排水が想定されるスロップシンクでは、通気管の経路や既存系統との接続位置を十分に検討することが求められます。
施設別の注意点
医療・介護施設
医療機関や介護施設では、感染予防の観点から汚物流しの配管が他の衛生設備と交差・混合しないよう専用系統での配管が求められる場合があります。また、処理した汚水が院内感染リスクにならないよう、排水管の継ぎ手や封水の管理に特に注意が必要です。厚生労働省・各都道府県の施設整備基準も確認してください。使用頻度の高い現場では、清掃・消毒作業の合間にも安定して使用できるよう、止水栓や排水口へのアクセスのしやすさも設計段階で考慮しておくと運用がスムーズになります。
マンション共用部
マンション共用部に後付けでスロップシンクを設置する場合、共用の給排水立管から分岐することが多くなります。分岐位置や管径の適切性を確認し、他の住戸への水圧・排水への影響がないかを事前に検討します。清掃員が日常的に使用するスペースであるため、動線上の使いやすさや、清掃用具の保管スペースとの位置関係も併せて検討すると、竣工後の使い勝手が向上します。
工場・倉庫の清掃スペース
工場や倉庫では、清掃時に出る産業廃水が生活排水と混合しないよう、公共下水への排出可否を事前に確認します。グリーストラップ同様、前処理設備の設置が必要なケースもあります。取り扱う薬液の種類によっては配管材質の耐薬品性がより重要になるため、現場で使用する洗剤・消毒液の種類を事前に業者と共有しておくことをおすすめします。
設置後のメンテナンスと衛生管理
スロップシンクは汚水や汚物を扱う設備であるため、設置後の日常的な管理も使い勝手や衛生状態を左右します。
- トラップ封水の確認: 使用頻度が低い場所に設置した場合、封水が蒸発して臭気が上がってくることがあります。定期的に水を流し、封水を保つようにします
- 排水口・グレーチングの清掃: 毛髪や固形物、汚物の一部が排水口に溜まると詰まりの原因になるため、定期的な清掃が必要です
- 給水器具の点検: 混合水栓を使用している場合は、パッキンやカートリッジの劣化による水漏れがないか定期的に確認します
- 配管の腐食チェック: 消毒液や洗剤を頻繁に使用する環境では配管の腐食が進みやすいため、定期点検で早期に異常を発見することが望まれます
施工業者選びのポイント
スロップシンクの配管工事は、給水・排水・通気の各系統が絡み合う専門性の高い工事です。依頼する際は、給排水衛生設備工事の実績が豊富な業者を選ぶことが望まれます。特に医療・介護施設のように衛生管理の基準が厳しい現場では、施設側の担当者と綿密に打ち合わせを行い、稼働中の施設の運用に支障が出ないよう工程を調整できる業者かどうかも重要な判断材料になります。既存の配管図面が残っていない建物では、事前の現地調査でどこまで正確に配管ルートを把握できるかが、工事の手戻りを防ぐポイントになります。
工事の流れ
- 現地調査: 設置場所の床・壁の構造確認、近接する給排水管の位置確認
- 設計・見積: 配管ルート・管径・機器選定
- 既設配管への分岐工事: 給水・排水の分岐点確認、断水・止水作業
- 配管敷設: 給水・排水・通気管の引き込み
- 器具取付: スロップシンク本体・水栓の取付
- 通水試験・漏水確認: 給排水の通水テスト
- 仕上げ・養生: 床の貫通部防水処理
まとめ
スロップシンクの設置は、給水・排水・通気配管を適切に設計・施工することが衛生管理の要です。特に医療・介護施設では感染防止の観点から専門的な配管工事が必要になるため、管工事の有資格業者に依頼することをお勧めします。設置後もトラップ封水の維持や排水口の清掃といった日常的な管理を続けることで、衛生的な状態を長く保つことができます。宮城県・仙台市でのスロップシンク設置工事のご相談はお気軽にお問い合わせください。
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