
事務所や店舗で多く使われる天井カセット形エアコンは、本体が天井の中に収まっているため、冷房や除湿で出る結露水(ドレン水)を自然勾配だけで流しにくいことがあります。そこで多くの機種は本体にドレンポンプを内蔵し、いったん水を天井内で持ち上げてから勾配をつけた配管で流すドレンアップという方式をとります。この記事では、天井カセット形のドレンアップの仕組みと配管施工の要点、水漏れの主な原因と点検の考え方を整理します。壁掛け形のドレンホースの詰まりはエアコンのドレンホースが詰まる原因と水漏れ対策で解説しています。
ドレンアップの仕組み
冷房運転中は、室内機の熱交換器で冷やされた空気中の水分が結露し、下にあるドレンパンにたまります。天井カセット形では、ドレンパンにたまった水を内蔵のドレンポンプで吸い上げ、本体の排水口から立上げ配管で持ち上げたあと、下り勾配の横引き配管で排水先まで流します。水位の異常を検知すると運転を止める機能を持つ機種もあります。
ポンプで持ち上げられる高さ(揚程)は機種によって違います。たとえば三菱電機の4方向天井カセット形(PL-ZRP45HA4)の外形図では、ドレンポンプ内蔵で最大揚程は天井面から850ミリメートル、ドレン配管には硬質ポリ塩化ビニル管 VP-25 を使うと記載されています。これは1機種の例であり、施工する機種の据付工事説明書や外形図で必ず確かめます。
ドレンアップ配管の施工の要点

日本建設業連合会(日建連)が公開している設備工事情報シートには、空調機メーカーごとのドレン配管の施工要領がまとめられています(シートには日建連の基準・規格ではないと明記されています)。天井カセット形のドレンアップ配管について、次のような点が示されています。
- 立上げ高さは機種によって異なるため、据付工事説明書で確認した許容寸法以下で施工する(三菱電機編では天井面より850ミリメートル以下を例示)
- 立上げはドレンソケットの根元から300ミリメートル以内で垂直に行い、ドレンホース部は空気溜まりができないよう水平か若干の上り勾配にする(空気溜まりがあると、ポンプ停止時に逆流した水で異音が出ることがある)
- 立上げ後の横引きは1/100以上の下り勾配とし、横引きはなるべく20メートル以下にする
- 配管の途中にエア抜き、山越え、トラップを設けない
- 塩ビ管の支持間隔は、SHASE-S 101 の例で40A以下は1.0メートル以下、50A以下は1.2メートル以下とする
- 屋内を通るドレン配管とドレンソケット部には、結露による水漏れを防ぐ防露を行う
集合ドレン配管の注意点
複数の室内機のドレンを1本の配管にまとめる場合、同じ情報シートは次の点を挙げています。
- 各室内機のドレン出口(ドレンアップ機は持ち上げたあとの口)より約10センチメートル以上低い位置で集合管に接続する
- 集合管(主管)は口径30ミリメートル以上とし、1/100以上の下り勾配を確保する。口径は接続する室内機のドレン量から決める
- 汚水系統の排水管や排水溝、汚水槽には直接つながない(硫黄系のガスが熱交換器の腐食や異臭の原因になる)
- 同じ系統で二重トラップにならないようにする
ドレンアップ機と自然排水の機種を同じ集合管につなぐ場合も、それぞれの出口から10センチメートル以上の落差をとります。
水漏れの主な原因と点検
天井カセット形からの水漏れや天井のしみは、次のような原因で起こります。
- 横引き配管の勾配不足やたるみで水が滞留している
- 立上げ高さが機種の許容値を超えている、または立上げの途中に横引きや山越えがある
- ドレンパンやポンプ、配管にほこりやぬめりがたまって詰まっている
- ドレンポンプや水位を検知する部品が故障している
- 配管やドレンソケットの防露が切れて、外側に結露している
フィルターや熱交換器の汚れはドレンパンのぬめりや詰まりにつながるため、定期的なフィルター清掃も予防になります。冷房の時期に入る前に、化粧パネルを外してドレンパンの汚れを確かめ、試運転で排水先から水が出ていることを確認しておくと安心です。空調設備全体の点検計画は商業施設の空調予防保全計画もご覧ください。
森工業は、法人・事業者様の建物のエアコン設置や空調配管などの空気調和設備工事を承っています。対応内容は空気調和設備工事のページをご覧のうえ、お問い合わせフォームよりご相談ください。
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