
ユニットバスのサイズアップとは?
浴室リフォームの選択肢の一つに、既存のユニットバスを一回り大きなサイズへ交換(サイズアップ)する方法があります。例えば、従来の1216(内寸 約1,200mm×1,600mm)サイズから1616(内寸 約1,600mm×1,600mm)や1618(内寸 約1,600mm×1,800mm)への変更がよく見られます。
浴槽が広くなることで入浴の快適性が大幅に向上しますが、単純に大きいユニットを入れ替えるだけではなく、浴室空間の拡張と配管の引き直しが必要になります。この記事では、サイズアップに伴う工事の流れと配管工事のポイントを解説します。
サイズアップ工事が発生する主な場面

- 高齢者や介護を要する家族のために広い浴槽・バリアフリー対応にしたい
- 在来浴室(タイル張り)からユニットバスに交換する際に広くしたい
- 子どもが成長したため家族全員が快適に使える浴室にしたい
- 中古住宅のリノベーションで浴室スペックを向上させたい
いずれの場合も、サイズアップは浴室単体の工事では完結しない点が特徴です。隣接する脱衣所・洗面室・場合によっては廊下の一部まで影響が及ぶため、住まい全体の間取りを見ながら計画を立てる必要があります。
浴室サイズアップの工事概要
1. 既存浴室の解体
在来浴室の場合はタイル・防水層・床下地まで解体します。既存ユニットバスの場合はパネル・バスタブ・ドア枠・天井パネルをすべて撤去します。
解体時に配管の状態(給水管・排水管の劣化・位置)を確認し、必要に応じて交換・更新の判断を行います。解体で発生した廃材は種類ごとに分別し、適切な方法で処分します。作業中は粉じんや騒音が発生するため、養生シートでの保護や近隣への配慮も欠かせません。
2. 浴室空間の拡張工事
現在の浴室より広いスペースを確保するため、隣接する脱衣所の壁・床を撤去して空間を拡張します。この際、構造壁(耐力壁)に手を加えないよう構造の確認が必要です。木造住宅では間柱の撤去・補強梁の設置が発生することがあります。
脱衣所側が縮小する場合は、洗面台・収納棚のレイアウトを見直す設計調整も同時に検討します。既存図面が手元にない住宅では、床や天井を一部開口して梁・柱の位置を現地で確認する作業が加わることもあります。
3. 配管の引き直し工事
浴室サイズアップに伴い、以下の配管工事が発生します。
給水・給湯管
- 新しいユニットバスの浴槽・シャワー・水栓の位置に合わせて給水・給湯管を延長または引き直します
- 既存管が鉄管(SGP管)の場合は、この機会に架橋ポリエチレン管や銅管への更新を推奨します
- 止水栓や分岐部の位置が変わる場合は、メンテナンス性を考えた取り回しを検討します
排水管
- 浴槽排水口・洗い場排水口の位置が変わるため、床下の排水管を新たなルートで引き直します
- 排水管の勾配(1/50〜1/100)を確保しながら、排水桝または排水縦管まで接続します
- 東北地方では凍結防止のため、床下の断熱・保温措置も合わせて実施します
- 将来の点検・清掃に備えて、床下点検口の位置や有無も合わせて確認しておくと安心です
換気ダクト
- 浴室換気乾燥機の設置位置が変わる場合、換気ダクトの延長・新設が必要です
- 外壁貫通部の防水処理も合わせて行います
- ダクトの経路が長くなる、または曲がりが増えると換気効率が落ちやすいため、できるだけ短く直線的なルートを検討します
4. 防水工事・下地作成
新しいユニットバスを据え付ける前に、床の防水処理・水勾配の確認を行います。在来浴室からの変更の場合は特に念入りな防水処理が必要です。防水層は施工後にしっかりと乾燥・養生させる時間を確保し、下地合板は水平・レベルを確認しながら仕上げます。断熱材を追加できる工程でもあるため、寒さが気になる場合は業者に相談してみましょう。
5. ユニットバスの組み立て・接続
メーカーの施工基準に従ってユニットバスを組み立て、給水・給湯・排水・換気の各配管を接続します。接続後は通水試験・漏水確認を実施し、問題がなければ完成です。組み立ての最終段階では、ドアの建付け調整や換気システムの動作確認も行います。手すりや浴室乾燥機などのオプション装備を追加する場合は、この段階で取り付け位置を決めて設置します。
サイズアップ工事の注意点
構造への影響を必ず確認
浴室を広げるために壁を撤去する際、建物の構造体(耐力壁・柱・基礎)に干渉しないかを必ず確認します。設計変更が必要な場合は建築士との連携が欠かせません。撤去できない壁がある場合は、浴室の形状を工夫して限られたスペースの中で最大限広く感じられるレイアウトを検討することもあります。
在来浴室からの変更は配管位置の変更が大きい
在来浴室はタイル張りで配管が床下・壁内を自由に通っていますが、ユニットバスは規格化された位置に排水口・給水口があります。既存配管とユニットバスの接続口が合わない場合は大幅な配管引き直しが必要です。排水口の高さが合わないケースでは、床の一部をかさ上げして勾配を確保する対応が必要になることもあります。
工期と仮設対策
浴室が使えない期間(通常3〜7日程度)の入浴手段(銭湯・シャワー利用など)を事前に検討しておきましょう。近隣に接する住宅では、解体・搬入作業の音が響きやすいため、着工前に挨拶をしておくとトラブルを防ぎやすくなります。
工事費用を左右する主な要因
サイズアップリフォームの費用は住宅ごとの条件によって大きく変わります。見積もりを比較する際は、以下のような要因が影響することを踏まえておくと判断しやすくなります。
| 要因 | 費用への影響 |
|---|---|
| 拡張する面積の大きさ | 拡張幅が大きいほど解体・造作範囲が広がる |
| 配管ルートの複雑さ・延長距離 | 給水・給湯・排水管の引き直し量が増えるほど工数が増える |
| 構造補強の有無 | 耐力壁・柱に関わる補強が必要な場合は追加工事が発生する |
| 解体・産廃処分の範囲 | 在来浴室からの変更は解体量が多くなりやすい |
| ユニットバスのグレード・オプション | 浴室乾燥機や手すりなどの装備追加で変動する |
正確な費用は現地調査をもとにした見積もりでのみ把握できるため、複数の項目を比較しながら業者に確認することをおすすめします。
よくある質問
Q. マンションでもサイズアップはできますか? A. マンションは管理規約や構造上の制約(コンクリートスラブの位置、パイプスペースの取り回しなど)があり、戸建てよりも制約が多い傾向があります。着工前に管理組合への確認が必要です。
Q. 工事中は水道が使えなくなりますか? A. 給水管の切り替えなど一部の作業では、一時的に断水が発生することがあります。事前に工程を確認し、影響が出やすい時間帯を把握しておくと安心です。
Q. 解体してみないと分からないことはありますか? A. 配管の劣化状態や構造体の位置は、解体して初めて確認できる部分があります。着工後に想定外の補修が必要になるケースもあるため、事前の現地調査とあわせて余裕をもった計画を立てることが大切です。
まとめ
ユニットバスのサイズアップリフォームは、快適な入浴環境と将来的なバリアフリー対応を実現する有効な手段です。ただし、浴室空間の拡張・配管の引き直し・構造確認など、専門性の高い工事が重なります。特に排水管の勾配確保と防水処理は仕上がりに直結するため、配管工事の経験が豊富な専門業者に依頼することをお勧めします。
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