
保育所・こども園の給排水設備は特別な配慮が必要
保育所や認定こども園は、乳幼児が長時間を過ごす施設です。飲料水の安全性、手洗い設備の使いやすさ、調理室の衛生管理など、給排水設備には一般的な建物以上の安全基準と衛生管理が求められます。
特に宮城・東北エリアでは、冬季の凍結による給水停止リスクや、老朽化した建物での配管更新など、特有の課題を抱える施設も多くあります。本記事では、保育所・認定こども園の給排水設備設計・工事・メンテナンスにおける重要ポイントをまとめます。
法令・基準から見た給排水設備の要件

認可保育所の設置基準
認可保育所の設置には、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)に基づいた設備基準が定められています。給排水に関連する主な要件は以下のとおりです。
給水設備
- 調理室・手洗い場・沐浴設備に適切な給水設備を設けること
- 飲料水は水道法に基づく水質基準を満たすこと
- 受水槽を使用する場合は定期的な清掃・水質検査を行うこと
排水設備
食中毒・感染症対策としての給排水衛生管理
保育所では乳幼児が集団生活を送るため、給排水設備の衛生管理が感染症予防に直結します。手洗い設備の充実、調理用水の衛生管理、トイレの清潔維持は特に重要です。
厚生労働省のガイドラインでは、「保育所における感染症対策ガイドライン」として給排水衛生を含む環境整備の基準が示されており、施設運営者はこれに沿った管理が求められます。
保育所・こども園特有の給排水設計ポイント
子どもの身長に合わせた器具の選定と配管設計
乳幼児から幼児まで使用する手洗い台・洗面台は、一般成人向けとは異なる高さ設定が必要です。0〜2歳児向けには床から約40〜50cm、3〜5歳児向けには50〜60cm程度の高さが目安です。
器具の高さが変わることで、給水管の立ち上がり位置・排水管の接続高さも変わります。将来的な改修を見越して、フレキシブルな接続方式(フレキ管・ユニオン継手など)を採用すると、器具交換時の工事コストを抑えられます。
沐浴設備の給湯・排水配管
0〜1歳児クラスがある施設では沐浴室が設けられます。沐浴設備の特徴は以下のとおりです。
給湯設計の注意点
- 乳児の肌に適した湯温(38〜40℃)を安定供給するため、サーモスタット付き混合水栓の設置が推奨されます
- 湯量が多いため、給湯能力の算定に沐浴槽分を加算する必要があります
- 電気給湯器(エコキュート)を採用する場合、ピーク時の沐浴需要を満たせる容量計算が重要です
排水設計の注意点
- 沐浴槽の排水は大量の湯水を短時間で排出するため、排水管径を一般洗面台より太くする(DN50以上を目安)
- 沐浴後の水が漏れても排水できるよう、室内床に排水溝(床排水)を設けることが望ましい
調理室のグリーストラップ設計
給食を提供する保育所・こども園には調理室が設けられ、油脂を含む排水を処理するグリーストラップの設置が求められるのが一般的です。具体的な設置義務の有無や基準は、所管する自治体の下水道条例・排水基準によって定められるため、事前の確認が必要です。
設置基準の確認 グリーストラップの設置は各自治体の下水道条例・排水基準によって規定されます。宮城県・仙台市の場合も、調理施設からの排水にはグリーストラップの設置と定期清掃が求められています。
容量計算 調理する食数・使用する油脂量に応じたグリーストラップ容量を設計します。小規模園(50食未満)でも最低限の容量(60〜100L程度)が必要で、定期的な清掃(月1〜2回が目安)を行わないと詰まりや悪臭の原因になります。
冬季凍結防止対策(東北・宮城エリア必須)
宮城・東北の冬季は給水管の凍結リスクがあります。保育所では早朝から給水を使用するため、凍結による断水は運営に直接影響します。
主な凍結防止措置
- 屋外露出配管への保温材巻き(ポリエチレンフォーム・グラスウール)
- 電気ヒーターテープ(電気トレーシング)の設置
- 水道管元栓の位置の把握と水落とし手順の整備
- 長期休暇(お盆・年末年始)の水落とし実施
既存施設の配管リフォーム・更新工事
老朽化配管の更新判断基準
築20〜30年を超えた保育施設では、給水管(鋼管・銅管)の内部腐食や排水管の劣化が進んでいる場合があります。以下のサインがある場合は配管更新の検討が必要です。
- 蛇口から茶色・赤みがかった水(赤水)が出る
- 水圧が以前より低下している
- 水道料金が急に上がった(漏水の可能性)
- 排水が流れにくい・詰まりが頻繁に起きる
- 床下や壁内から水音・湿気がある
管内カメラ調査の活用 老朽化が疑われる場合、配管内部をカメラで確認する「管内カメラ調査」が有効です。実際の腐食・スケール堆積・破損状況を映像で確認でき、更新が必要な区間を絞り込めます。
リフォーム工事中の運営継続への配慮
保育所の配管工事は、子どもたちが在園している時間帯は騒音・振動・断水が制約されます。工事スケジュールは以下の工夫が有効です。
- 長期休暇(夏季・冬季)や週末に集中工事を行う
- 断水時間を最小化するため事前の養生・仮設給水を計画する
- 工事区間を分けて部分的に施工し、運営への影響を分散する
定期点検・メンテナンスのスケジュール
保育所・こども園で推奨する給排水設備の定期メンテナンスは以下のとおりです。
| 頻度 | 作業内容 |
|---|---|
| 毎月 | グリーストラップ清掃・手洗い設備の水漏れ確認・排水の流れ確認 |
| 年2回 | 排水桝の清掃・水道メーター確認・止水栓の動作確認 |
| 年1回 | 給湯器・混合水栓の点検・受水槽(使用施設)の清掃 |
| 3〜5年ごと | 排水管の高圧洗浄・配管の腐食確認(管内カメラ等) |
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