
業務用製氷機の設置で配管工事が必要な理由
飲食店・ホテル・コンビニバックヤード・食品工場など、業務用製氷機を導入する現場では必ず給水配管・排水配管・電源の3系統を整備する必要があります。製氷機は連続稼働する設備であり、給水量が不足したり排水が詰まったりすると製氷能力が著しく低下するだけでなく、機器本体の故障にもつながります。
配管工事は機器メーカーの指定する仕様に沿って行うことが基本ですが、現場によっては既存配管の経路変更や口径アップが必要になるケースもあります。このコラムでは、業務用製氷機の給排水工事で押さえておきたい要点を解説します。
給水配管の基本要件

給水圧力と流量の確認
業務用製氷機には機種ごとに「最低動作水圧」と「最大許容水圧」が設定されています。一般的に最低動作水圧は0.05〜0.1MPa程度、最大許容水圧は0.8MPa前後です。
現場の給水圧力が低い場合は増圧ポンプの追加が必要になることがあります。逆に圧力が高すぎる場合は減圧弁を設置して機器を保護します。厨房の水圧は他の機器との競合(食洗機・ガスレンジ冷却水など)で変動することがあるため、最も水使用が重なる時間帯の実圧を測定することが大切です。
給水口径と配管材料
一般的な業務用製氷機の給水接続口はG3/8またはG1/2のフレア継手またはフレキシブル管接続になっています。給水本管からの分岐は接続口径に合わせた配管を使い、分岐点には必ずストップバルブ(止水栓)を設けます。
配管材料は厨房内ではステンレス管または架橋ポリエチレン管が耐久性・衛生面で適しています。施工環境が狭い場合はフレキシブル管(可とう管)を使いますが、過度な屈曲は流量損失につながるため最小曲げ半径を守ります。
給水フィルターと軟水器
水質が製氷能力とスケール堆積に大きく影響します。水道水の硬度が高い地域では製氷機内部にスケール(炭酸カルシウムなどの析出物)が付着しやすく、製氷効率が下がって定期洗浄が頻繁に必要になります。
このため、給水配管の途中にフィルターカートリッジを設置することがメーカーから推奨されるケースが多いです。さらにスケールが深刻な現場では軟水器(イオン交換式)を組み込む設計も行われます。フィルターは定期交換が必要なため、点検・交換しやすい位置に設置することがポイントです。
排水配管の設計と施工
排水量と排水口径
製氷機の排水は主に①製氷サイクル中の不純物排水(ドレン)、②デフロスト(除霜)時の排水、③機器洗浄時の排水の3種類があります。これらのピーク排水量に対応できる口径の排水管を確保します。
接続口径は機種によって異なりますが、一般的にはVP25(外径32mm)〜VP32(外径40mm)程度の排水管を使います。排水量が多い大型機では VP40 以上を使う場合もあります。
排水の勾配と間接排水
製氷機からの排水は衛生上の理由から間接排水(排水管と機器排水口の間に空気の断絶を設けること)が求められます。機器の排水口を直接配水管に接続すると、下水臭や逆流リスクが生じるためです。
排水管の勾配は1/50〜1/100(2〜1%)を確保し、ストレス無く自然流下できるよう配管経路を計画します。勾配が取れない現場では排水ポンプアップ設備の設置も検討します。
製氷機専用の排水系統
厨房の共用排水系統に製氷機の排水を合流させることは問題ありませんが、油脂分が多いグリストラップ系統との合流は避けるのが原則です。製氷機の排水は比較的清澄ですが、グリストラップ側の目詰まりが製氷機排水にも悪影響を与えることがあります。可能であれば製氷機排水はグリストラップをバイパスして雑排水系統へ流すルートを計画します。
設置環境と現場調査のポイント
製氷機の給排水工事を適切に行うためには、事前の現場調査が欠かせません。確認すべき主なポイントは以下のとおりです。
- 既存給水管の口径・材質・劣化状態: 築年数が古い建物では鉛管や亜鉛メッキ鋼管が使われていることがあり、交換が必要な場合があります
- 水圧の実測値: ピーク時間帯に測定し、増圧・減圧が必要かを判断します
- 排水経路の確保: 機器設置位置から排水桝または排水本管まで適切な勾配が取れるかを確認します
- 点検スペース: フィルター交換・配管メンテナンスのためのスペースを確保します
- 電源配線との干渉: 給排水配管と電源ケーブルが競合しないよう、電気工事業者と事前に調整します
機種交換時の配管引き継ぎ
既存の製氷機を新機種に交換する場合、既存の給排水配管をそのまま流用できるケースもありますが、以下の点に注意が必要です。
新旧機種で接続口径・接続方式が異なることが多く、アダプターや変換継手が必要になる場合があります。また既存配管の老朽化(内部スケール・錆・ひび割れ)が機器交換のタイミングで初めて発見されることもあります。この機会に配管全体を新設するほうが長期的なコスト面で有利なケースもあります。
製氷機交換工事では機器メーカーと配管工事業者が連携して作業することが重要です。据え付け後の試運転では給水圧力・流量・排水の流れを実際に確認し、製氷サイクルが正常に動作することを確かめてから引き渡しとなります。
まとめ
業務用製氷機の給排水配管工事は、給水圧力の確認・適切な口径選定・衛生的な間接排水の確保・フィルター設置という4つのポイントが核心です。機器本体の性能を十分に発揮するためには、配管工事の品質が直接影響します。製氷機の新設・交換を検討している場合は、機器選定の段階から配管工事業者に現場調査を依頼し、最適な設計を進めることをお勧めします。
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