
工場やプラントの給排水配管は、生産設備の冷却水・洗浄水・薬液、そして排水処理まで多様な用途で水や液体にさらされ続けています。腐食による漏水や突発的な配管更新は、生産ラインの停止や施設の衛生管理リスクに直結するため、材料選定の段階でどこまで耐食性を織り込めるかが、長期的なコストと安全性を大きく左右します。この記事では、工場・プラント・商業施設・公共施設の施主様や元請会社様に向けて、給排水配管の腐食対策と材料選定の考え方を整理します。
給排水配管で腐食が進行する主な要因
給排水配管の腐食は、水質や使用環境によって進行のパターンが異なります。材料を選ぶ前に、まずどのタイプの腐食が起こりやすい現場なのかを把握することが重要です。
- 電食(異種金属接触腐食): 材質の異なる配管や継手を接続した箇所に生じる電位差による腐食
- 孔食(ピッチング腐食): 塩化物イオン濃度が高い水質でステンレス表面に生じる局部的な腐食
- 全面腐食: 炭素鋼配管の内面が水中の溶存酸素と反応し、管全体で進行する腐食
- スケール下腐食: 配管内面に付着したスケールや堆積物の下で、酸素濃度差によって進行する腐食
- 応力腐食割れ: 塩化物環境と応力が重なった場合に、オーステナイト系ステンレスに生じる割れ
このうち電食については、異種金属の組み合わせや絶縁継手の要否が判断のポイントになります。詳しい原因と防止策は配管の電食(異種金属腐食)とは?金属の組み合わせ早見表と原因・防止対策で解説しています。
ステンレス配管という選択肢

ステンレス配管は耐食性に優れ、給排水配管の中でも長期の使用実績があります。一般的な水質であればSUS304系でも十分な耐食性を発揮しますが、塩化物イオン濃度が高い水や海沿いの立地では、モリブデンを含む上位グレードの検討が必要になる場合があります。溶接部が多い配管系統では、溶接熱影響部の粒界腐食を避けるため、低炭素グレードを選ぶ判断も出てきます。初期コストは炭素鋼や樹脂管より高くなりますが、更新周期を延ばせる分、長期的なライフサイクルコストで有利になるケースが多い材料です。
樹脂管という選択肢
樹脂管は薬液や強酸・強アルカリに対する耐食性が高く、腐食による肉厚減少という金属管特有のリスクがありません。塩化ビニル管やポリプロピレン管は比較的安価で施工性もよく、常温から中温域の給排水ラインに広く使われています。一方で耐熱性・耐衝撃性には限界があり、高温の排水や屋外での直射日光・紫外線劣化には注意が必要です。屋外露出配管の紫外線対策については屋外露出配管のUV劣化と紫外線対策|樹脂管・塩ビ管の劣化症状と防護工法にまとめています。
塗装・ライニング鋼管という選択肢
既存の炭素鋼配管を活かしながら耐食性を高めたい場合や、大口径配管をステンレス・樹脂管へ全面更新するのがコスト面で難しい場合には、内面ライニングや外面塗装という選択肢があります。配管内面にエポキシ樹脂などをライニングすることで、炭素鋼の強度・施工性を維持したまま流体との直接接触を遮断し、全面腐食やスケール下腐食の進行を抑える効果が期待できます。外面については、屋外配管や地中埋設管の防食塗装・被覆によって、大気中の水分や土壌からの腐食を防ぐ設計が一般的です。屋外配管の防食塗装の考え方は屋外配管・設備の腐食防食工事|塗装・被覆・電気防食の選び方と費用目安で紹介しています。
材料選定で確認しておきたいポイント
給排水配管の材料は、単一の基準だけで決められるものではありません。以下の観点を整理したうえで、複数材料を比較検討することをおすすめします。
- 通水する水質・薬液の種類、pH、塩化物イオン濃度
- 使用温度・使用圧力の条件と変動幅
- 配管口径・延長距離、既存設備との接続方式
- 業種に応じた法規制・衛生基準への適合
- 初期費用だけでなく、点検・更新周期を含めたライフサイクルコスト
これらの条件は施設ごとに異なるため、同じ「工場の給排水配管」であっても、最適な材料は現場ごとに変わってきます。
定期点検と組み合わせて腐食リスクを管理する
材料選定によって腐食の進行を抑えても、配管である以上は経年劣化を完全に避けることはできません。稼働を止めずに配管の肉厚を確認する非破壊検査については工場・プラント配管の非破壊検査ガイド|超音波肉厚測定で稼働を止めずに腐食・減肉を診断する方法で解説しています。排水処理配管の維持管理を含めた腐食対策の基本は工場・産業施設の排水処理配管メンテナンス|定期点検と腐食対策の基本もあわせてご参照ください。材料選定と定期点検を組み合わせることで、突発的な漏水事故や生産ラインの停止リスクを計画的に下げていくことができます。
まとめ
工場・プラントの給排水配管における材料選定は、ステンレス・樹脂管・塗装ライニング鋼管のそれぞれの特性を、現場の水質・温度条件・法規制・コスト面から総合的に評価することが欠かせません。どの材料にも得意な環境と苦手な環境があり、万能な選択肢は存在しません。森工業株式会社は工場・プラント・商業施設・公共施設・賃貸物件共用部の給排水配管工事に対応しております。材料選定や既存配管の腐食診断でお悩みの際は、お問い合わせフォームよりご相談ください。
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