
業務用厨房では、こんろやフライヤーから出る熱と燃焼廃ガス、油を含んだ蒸気を排気フード(天蓋)で集め、排気ダクトで屋外へ出します。排気が足りないと室内の空気が汚れ、ダクトに油がたまると火災の延焼経路にもなります。この記事では、建築基準法施行令と告示が定める火を使う調理室の換気、排気フードの形と必要な換気量、消防庁が示すグリス除去装置の基準、給気と排気のバランス、排気ダクトの維持管理を、設備側の視点で整理します。厨房の給排水の計画は業務用厨房の配管設計と施工基準で解説しています。
火を使う調理室に求められる換気
建築基準法施行令第20条の3第2項は、こんろなど火を使用する設備を設けた調理室等の換気設備について、次のような構造を定めています。
- 給気口は、天井の高さの2分の1以下の位置に設ける(煙突や換気扇等を設ける場合は適当な位置)
- 排気口は、天井または天井から下方80センチメートル以内の位置に設ける(煙突や排気フードを有する排気筒を設ける場合は適当な位置)
- 給気口は、火を使用する設備や器具の燃焼を妨げないように設ける
- 火を使用する設備や器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合、排気フードは不燃材料で造る
排気フードの形と必要な換気量

換気扇等の必要な有効換気量は、昭和45年建設省告示第1826号で定められています。排気フードを有する排気筒に換気扇等を設ける場合は V=NKQ で求め、K は燃料の理論廃ガス量(都市ガスは発熱量1キロワット時につき0.93立方メートル)、Q は器具の燃料消費量です。N はフードの形で変わります。
- 高さ1メートル以下で火源等を覆うフード: N=30
- 高さ1メートル以下で火源等とその周囲(フード高さの2分の1以内の水平距離)を覆い、下部に5センチメートル以上の垂下りを持ち、集気部分が水平面に対し10度以上傾斜しているフード: N=20
フードを設けず排気口に換気扇等を付ける場合は V=40KQ です。たとえば都市ガスの器具が合計50キロワットで2のフードなら、20×0.93×50で毎時930立方メートルが必要有効換気量になります。同じ告示は、火を使用する設備を設けた室の排気筒を、他の換気設備の排気筒や風道に連結しないことも定めています。
グリス除去装置の役割と構造
消防庁が示す火災予防条例(例)(通知では準則)の第3条の4第1項第3号は、油脂を含む蒸気を発生させるおそれのある厨房設備の天蓋にグリス除去装置を設けるよう定めており、その構造の基準は消防庁予防課長通知(平成8年消防予第162号)で示されています。
- グリスエクストラクター: 排気の気流を縮流加速し、遠心力で油脂分等を排気ダクトに入る前に天蓋内部で90%以上分離除去し、自動洗浄の機能を持つもの
- その他のグリス除去装置(グリスフィルター等): 油脂分等を天蓋内部で75%以上分離除去し、除去した油脂を自動的に回収でき、容易に清掃できるもの
- どちらも、除去した油脂分等が厨房設備に滴下せず、ステンレス鋼板またはこれと同等以上の耐熱性・耐食性・強度を持つ不燃材料で造る
グリス除去装置は排気側の設備で、排水側で油脂を分けるグリース阻集器とは別のものです。阻集器はグリーストラップの容量選定・清掃周期ガイドで解説しています。実際に適用されるのは各市町村の火災予防条例なので、仙台市など施工地の消防本部の基準も確かめます。
給気と排気のバランス
厨房は排気量が大きいため、それに見合う給気がないと室内が強い負圧になります。給気不足は次のような不具合につながります。
- 排気ファンが設計どおりの風量を出せず、フードから油煙や熱があふれる
- 燃焼に必要な空気が不足し、器具の燃焼状態が悪くなるおそれがある
- 扉が重くなる、すき間風が鳴る、他の排気口から外気が逆流する
給気口や給気ファンは、排気量に見合う量を確保したうえで、炎やフードの捕集を乱さない位置と向きに設けます。客席側へ臭気を広げないよう厨房をわずかに負圧に保つのが一般的ですが、負圧が強すぎないよう試運転で風量を測って調整します。
排気ダクトの施工と維持管理
国の公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)は、厨房の排気ダクトにダクト内の点検ができる措置を講じること、厨房など多湿箇所の排気用の長方形ダクトは複数のシールを組み合わせて施すこと、厨房用排気ダクトの板厚は特記によることを定めています。油がたまりやすい長い横引きや立下りを避け、清掃口を設けておくことが維持管理の前提になります。
東京消防庁のガイドラインは、天蓋やグリス除去装置など外観から確認できる部分は日常的に、排気ダクト内部など外観から確認が難しい部分は概ね1年ごとに点検することを目安として示しています。
出典: 国土交通省 公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)/東京消防庁 飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策ガイドライン
森工業は、店舗・工場など法人・事業者様の換気設備・ダクト工事を承っています。対応内容は空気調和設備工事のページをご覧のうえ、お問い合わせフォームよりご相談ください。
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