
受水槽の水位は、給水を止めたり開いたりする定水位弁(小口径ではボールタップ)と、水位を電気的に検出する電極棒の組み合わせで保たれています。どちらかが故障すると、受水槽から水があふれ続けたり、逆に水が入らず建物が断水したりします。この記事では、受水槽の定水位弁・ボールタップ・電極棒の仕組みと、満水警報・減水警報の考え方、故障したときの原因の切り分け方を整理します。トイレのタンクに付くボールタップの不具合はトイレタンクの不具合と修理ガイドで扱っており、ここでは建物の受水槽に付く機器を対象にします。
定水位弁とボールタップの役割
定水位弁は、受水槽への給水管に付ける大きな主弁と、槽内の水位を感じ取る副弁(パイロットのボールタップ)を、細いパイロット管でつないだ弁です。水位が上がって副弁が閉じると主弁のダイヤフラム室に水圧がかかって主弁が閉じ、水位が下がって副弁が開くと主弁も開きます。小さな浮き球だけで大口径の給水を開け閉めできるのが利点です。副弁の代わりに電磁弁を使い、電極棒の信号で開閉する方式もあります。
仙台市水道局の給水装置工事施行要領は、受水槽まわりについて次のように定めています。
- 受水槽への給水は定水位弁を使う(口径20mmはボールタップを使ってもよい)
- 定水位弁の二次側のサイホン作用による逆流を防ぐため、バキュームブレーカ内蔵型の定水位弁を使うか、二次側にバキュームブレーカを付ける
- 定水位弁は維持管理できる場所と高さに設け、受水槽の設置地盤から1.5m付近が望ましい
- 防振継手は定水位弁の上流側に設ける
- 副弁(ボールタップ)を交換するときは定水位弁のメーカー推奨品を使う
- 水面の波が副弁の動作に影響しないよう、吐水口と副弁の間を離す
要領は、一般に市販されているボールタップを副弁に使うと、バイブレーションやウォーターハンマーで定水位弁が正常に動かない場合があると注意しています。
電極棒で水位を検出する仕組み

電極棒は、長さの違うステンレスの棒を電極保持器から槽内につり下げたものです。いちばん長い電極と短い電極のあいだを水が電気的につなぐかどうかで、制御盤が水位を判断します。電極保持器のメーカーの説明書では、短い順に E1・E2・E3 と呼び、E3 が最も長い電極です。ポンプの起動・停止、満水警報や減水警報、定水位弁の電磁弁の開閉は、この電極の組み合わせで行います。
- 満水警報は、定水位弁が閉じるはずの水位を超えて水位が上がったときに出る警報で、定水位弁の閉じ不良に気づくためのものです
- 減水警報は、水位が下がりすぎたときに出る警報で、給水が止まっていることや、揚水ポンプが空運転になるおそれを知らせます
荏原製作所の水槽用電極は、1本1mの電極棒を袋ナットとロックナットで継いで長さを調節する方式です。電極の数に応じて3極・4極・5極用の保持器があり、6極以上が必要なときは保持器を2個使います。ポンプの空運転を防ぐ保護装置の選び方はポンプの空運転防止と保護装置の選び方で解説しています。
故障の症状と原因の切り分け
定水位弁のメーカーは、よくある故障を症状ごとに次のように整理しています。
| 症状 | 主な原因 |
|---|---|
| 受水槽からオーバーフローする(水が止まらない) | ダイヤフラム室へ圧力を導く経路のスケールの目詰まり、副弁ボールタップの弁体の固着やフロートの破損、パイロット電磁弁の作動不良 |
| 受水槽に水が入らない(渇水) | 副弁ボールタップの弁体の固着、パイロット配管やボールタップのストレーナの目詰まり、パイロット電磁弁の作動不良や逃がし量の不足 |
| ハンチングや流水音がする | 吐水による水面の波でフロートが上下する、長い落し込み配管、閉まり際の流速、開閉時間調整ねじの調整不良 |
警報が出たのに定水位弁に異常が見当たらない場合は、電極側を疑います。電極保持器のメーカーは、水中に油や泥など電気を通しにくいものが含まれると導電性が下がり、動作が不安定になることがあると注意しています。
点検と交換の目安
電極保持器の取扱説明書は、電極棒を年に1〜2回清掃し、汚水では頻繁に点検・清掃するよう求めています。電気工事店に5年に1回程度、端子ねじの増し締めを依頼することも挙げています。電極保持器の点検・交換には電気工事士の資格が必要です。定水位弁の副弁を交換するときは、前の節のとおりメーカー推奨品を選びます。
点検では、次の点を確かめておくと故障の早期発見につながります。
- 定水位弁が閉じたときの水位が、満水警報の水位とオーバーフロー管の高さより下にあるか
- 満水警報と減水警報が、実際に水位を動かしたときに出るか
- 副弁のフロートや弁体、パイロット管のストレーナにスケールが付いていないか
- 電極棒に汚れや付着物がなく、電極どうしが触れていないか
受水槽の法定の点検と清掃は受水槽・貯水槽の点検と管理で解説しています。
森工業は、学校・病院・オフィスビル・工場など法人・事業者様の給排水・衛生設備工事を承っています。受水槽まわりの配管や定水位弁の更新のご相談は、お問い合わせフォームよりお寄せください。
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