
工場やプラントの配管には、ポンプ・調節弁・減圧弁・流量計・熱交換器など、異物に弱い機器が数多くつながっています。これらを守る最後の砦がストレーナ(異物除去用のこし器)です。選定や取付け、清掃の運用を誤ると、機器の故障や流量低下の原因になります。この記事では、種類の違いと選定の考え方、取付け上の注意、清掃・点検の進め方を整理します。
ストレーナの役割と、フィルターとの違い
ストレーナは、配管内を流れる流体に混じった異物を金網や多孔板で捕捉し、下流の機器を守る部品です。捕捉の対象は、比較的大きな次の粒子です。
- 溶接時のスパッタやスラグ
- 配管内面から剥がれた錆やスケール
- ガスケットやシール材の欠片
- 工事中に混入した砂や切りくず
よく混同されるのがフィルター(ろ過器)との違いです。ストレーナは機器保護のための粗い除去が目的で、清掃して繰り返し使います。一方のフィルターは、製品の品質や水質のために微細な粒子まで取り除く用途が中心で、ろ材の交換や逆洗を前提にします。ストレーナの目を細かくしすぎると、すぐに目詰まりして流れを妨げます。
主な種類と使い分け

配管用でよく使われる形式を整理すると、次のようになります。
| 種類 | 特徴 | 向く場面 |
|---|---|---|
| Y型 | 小型で取付けやすい | 汎用の水・蒸気・空気配管 |
| バスケット型 | 網の容量が大きく、目詰まりまでの余裕がある | 異物が多い系統、大口径配管 |
| 二連式(切替式) | 2 つのケースを切り替えて運転を止めずに清掃できる | 停止できない連続運転ライン |
| 自動洗浄式 | 差圧などで自動的に逆洗・排出する | 清掃の手間を減らしたい大流量系統 |
| 仮設ストレーナ | 試運転時にポンプ吸込側などへ一時的に入れる | 新設・改修後のフラッシング時 |
Y型は構造が単純で、まず検討される形式です。ただし網の容量が小さいため、異物が多い系統ではバスケット型や二連式のほうが保守の負担は軽くなります。
選定で確認したい 4 つのポイント
ストレーナを選ぶときは、口径だけで決めず、次の項目を順に確認します。
- 保護したい機器の許容粒径: 調節弁、流量計、スチームトラップ、スプレーノズルなどは、機器メーカーが許容する異物の大きさの目安を示していることがあります。網の目はその仕様に合わせて選びます。
- 流体の種類と温度・圧力: 水、蒸気、油、薬液で使える材質は変わります。ボディは鋳鉄、鋳鋼、ステンレス鋼、青銅などがあり、網はステンレスが一般的です。海水や薬品を扱う系統では、腐食に耐える材質を選びます。
- 網の目の細かさ: 目が細かいほど捕捉できる異物は小さくなりますが、目詰まりが早く、圧力損失も大きくなります。
- 清掃のしやすさ: 網を引き抜く空間があるか、ドレン抜きが付いているかを選定時に確認します。
取付け時の注意点
同じストレーナでも、取付け方で性能と保守性が変わります。押さえておきたい点は次のとおりです。
- 流れ方向は本体の矢印に合わせます。逆向きに付けると、網が本来の圧力を受ける向きにならず、破損の原因になります。
- 水平配管では、網の収納部(キャップ側)を下向きに取り付けるのが基本です。蒸気配管では、収納部にドレンが溜まらないよう、横向きに取り付けるのが一般的です。
- ストレーナの前後に止め弁を設け、系統を止めずに、あるいは最小限の停止で清掃できるようにします。
- 清掃時に流体を安全に排出できるよう、ドレン抜きの弁と排水先を確保します。
- 網を抜き取るための空間を確保します。網が取り出せない配置は、清掃が後回しになる典型例です。
- 前後に圧力計か差圧計を設け、目詰まりの進行を数値で把握できるようにします。
特にポンプの吸込側では注意が必要です。吸込側のストレーナが詰まると吸込圧力が下がり、キャビテーションや空運転の原因になります。吸込側のストレーナは、定期清掃を確実に回せる運用とセットで導入します。
差圧で管理する清掃・点検の進め方
清掃周期は、経過時間だけでなく差圧で管理すると無駄がありません。清掃直後の差圧を基準値として記録し、そこからの上昇分を目詰まりの目安にします。許容できる上限は系統や機器の仕様で異なるため、設備ごとに管理値を決めておきます。
清掃の基本手順は次のとおりです。
- 前後の止め弁を閉じて系統から隔離し、内部の圧力を抜く
- ドレンから内部の流体を排出する(高温の蒸気・熱水や薬液では、保護具と安全な排出先を必ず確保)
- キャップを開けて網を取り出し、異物を除去して洗浄する
- 網の破れ、変形、目の拡大がないかを確認する
- ガスケットを確認し、傷んでいれば交換する
- 組み戻し、ゆっくりと弁を開けて、空気を抜きながら通水する
清掃のたびに、捕捉した異物を観察して記録しておくと、配管の診断にも役立ちます。錆やスケールが多ければ上流側の腐食が進行している可能性があり、溶接スパッタが出続けるなら施工時の内部清掃が不十分だった可能性があります。ゴム片が混じる場合は、上流のホースや弁のシートの劣化を疑います。
新設や改修の直後は、施工中に混入した異物が集中的に流れてくるため、清掃の間隔を短くします。あわせて仮設ストレーナを入れ、試運転前に配管内のフラッシング(洗い流し)を行っておくと、本設のストレーナや機器への負担を減らせます。給水系のフラッシングについては、給水管の管内洗浄(フラッシング)と赤錆除去も参考になります。
よくある失敗と、設備台帳での管理
よくある失敗は、網が破れたまま運転を続けること、ドレン抜きが無く清掃のたびに配管を分解すること、高所や狭所で清掃できないことの 3 つです。いずれも設計・施工の段階で防げます。
ストレーナは、点検の対象として台帳に載っていないことが多い部品です。設備台帳に管理番号、設置場所、口径、網の仕様、清掃周期、予備の網の有無を記載しておくと、担当者が替わっても運用が途切れません。予備の網やガスケットを備えておくと、停止時間を短縮できます。
保護対象の機器については、蒸気トラップの種類と選び方や減圧弁の役割と交換時期もあわせてご覧ください。
まとめ
ストレーナは、選定・取付け・清掃がそろって初めて機器を守れる部品です。許容粒径に合わせた網の選定、清掃しやすい向きと空間の確保、差圧による管理を押さえておけば、ポンプや弁の不具合を未然に減らせます。既設ラインへのストレーナの増設や、清掃しにくい配置の見直しなど、工場・プラントの配管に関するご相談は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
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