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水道に直結した医療・食品製造の機器や、薬品・洗剤を扱う設備では、汚れた水が水道へ戻らないよう、特に確実な逆流防止が求められます。そこで使われるのが減圧式逆流防止器です。名前に「減圧」と付くため減圧弁と混同されがちですが、圧力を調整する器具ではありません。この記事では、減圧式逆流防止器の仕組み、給水装置の基準での位置づけ、設置と点検で確かめたい点を、国の基準とメーカーの取扱説明書をもとに整理します。
減圧式逆流防止器とは
国土交通省の資料では、減圧式逆流防止器を「2個の逆止弁の間に逃し弁を持つ中間室がある構造で、逆止弁が故障しても逃し弁が開くことによって、逆流防止効果を持つ」器具として、単式逆止弁や複式逆止弁と並ぶ逆止弁類の一つに挙げています。また、逆流防止機能と負圧破壊機能をあわせ持つ装置として、米国などで一般的に使われてきたと説明しています。
メーカーのよくある質問でも、減圧式逆流防止器は 2 つの逆止弁の圧力差を利用した逆流防止器で、圧力の調整が目的ではなく、圧力を調整するなら減圧弁を使うよう案内しています。逆止弁の種類(スイング式・リフト式など)と一般的な保守は、漏水調査トレーサーガス法と逆流防止弁の仕組みで解説しています。
出典: 国土交通省 給水用具の種類(逆止弁類)/国土交通省 逆流防止性能基準の解説/株式会社ベン No.009N型 減圧式逆流防止器
2つの逆止弁と中間室の逃し弁の働き

内部は、上流側の第1逆止弁、下流側の第2逆止弁、その間の中間室(減圧室)と、中間室の水を外へ捨てる逃し弁でできています。メーカーの取扱説明書は、状態ごとの動きを次のように説明しています。
- 通常の流れでは、第1・第2逆止弁が開いて通水し、逃し弁は一次側の圧力を受けて閉じている
- 水が止まっている間は両方の逆止弁が閉じ、中間室の圧力は一次側より低い状態に保たれる
- 一次側が負圧になる逆サイホンが起きると、逃し弁が全開して中間室の水を外へ排出する
- 第1逆止弁が故障して一次側と中間室の差圧がなくなると、逃し弁が開く
- 第2逆止弁が故障して下流から逆圧がかかると、中間室の圧力が上がって逃し弁が開き、逆流した水を外へ捨てる
ポイントは、中間室の圧力を常に一次側より低く保ち、その差がなくなったら水を外へ逃がすところです。逆流しようとする水は水道側へ届く前に逃し弁から捨てられるため、逆止弁が 1 つ故障しても汚れた水が配水管へ戻りにくい構造になっています。
給水装置の基準での位置づけ
給水装置の構造及び材質の基準に関する省令の第5条は、水が逆流するおそれのある場所の給水装置について、逆流防止の性能をもつ給水用具を適切な位置に設けるか、規定の吐水口空間を確保するかの、いずれかを求めています。このうち減圧式逆流防止器には、逆流防止性能試験で3キロパスカルと1.5メガパスカルの静水圧を1分間加えて水漏れや破損などの異常がないことに加え、負圧破壊性能試験で流入側からマイナス54キロパスカルの圧力を加えたときに、接続した透明管内の水位の上昇が3ミリメートルを超えないことが求められます。逆止弁には負圧破壊の試験が課されていない点が、減圧式との違いです。
同じ条の第2項は、事業活動にともない水を汚染するおそれのある場所に給水する給水装置について、吐水口空間を確保し、その場所の設備と給水装置を分離すること等による逆流防止を求めています。どの場所に減圧式逆流防止器を使えるかは、水道事業者ごとに基準を設けている場合があるため、計画の段階で施工地の水道事業者に確かめてください。
設置で押さえたいこと
メーカーの取扱説明書は、設置について主に次の点を挙げています。
- 流れの向きの矢印をそろえ、水平配管に正立で取り付ける
- 一次側に止弁とストレーナを付け、取り付け前に配管を十分に洗浄する(ごみのかみ込みが作動不良の原因になるため)
- 逃し弁から水が出ることを前提に、エアギャップ(間接排水金具)や受け口で水を受け、排水口空間をとって排水する。ピット内に置く場合は完全に排水できるようにする
- 凍結のおそれがある場所では保温などの凍結防止をする
- 分解点検ができるよう、床・壁・テストコックまわりに作業スペースを確保する
一次側の圧力が頻繁に変動すると、逃し弁が開いて排水口から水が出ることがあります。その場合は一次側に減圧弁を付けるなどの対策が示されています。
点検の内容と「排水が止まらない」ときの見方
減圧式逆流防止器には、機能を確かめるための止弁とテストコックが付いていて、テストキットを使えば配管に付けたまま点検できます。取扱説明書では、日常点検として逃し弁からの連続的な漏れ・流量不足・外部への漏れを確かめ、定期点検として年に1回の分解点検で逆止弁部と逃し弁部の動きや当たり面の傷みを確かめるよう示しています。分解は設備・工事業者などの専門の方が行うものとされています。
| 症状 | 主な原因 | 対処の例 |
|---|---|---|
| ときどき排水口から水がしたたる | 給水圧力や下流側の水圧の変動 | 上流に減圧弁や逆止弁、下流に逆止弁を付けて変動を抑える |
| 絶えず排水口から水が漏れる | 第1逆止弁や逃し弁座へのごみ・スケールのかみ込みや損傷、過大な逆圧・ウォーターハンマー・凍結による第2逆止弁の変形 | フラッシング、部品の清掃・交換、下流に逆止弁や水撃防止器を設ける |
| 流量が足りない | 一次側ストレーナの目詰まり、呼び径が小さい | ストレーナの清掃、適正な呼び径への交換 |
正常な状態でも、給水圧力の変動で排水されることがあるとメーカーは案内しています。排水が出たらすぐ故障と決めつけず、出方(一時的か連続か)と圧力の状況をあわせて見ることが大切です。
出典: 株式会社ベン No.009N型 減圧式逆流防止器(取扱説明書を掲載)
森工業では、工場・事業所などの給水配管の改修・更新工事を承っています。逆流防止器まわりの配管の見直しは、お問い合わせフォームよりご相談ください。
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