
漏水問題を「発見→特定→修復」まで体系的に理解する
水道管の漏水は発見が難しく、放置すると被害が拡大する厄介なトラブルです。「水道料金が急に高くなった」「水を使っていないのにメーターが動いている」「地面や壁が常に湿っている」——こうした兆候が出たとき、どのような手順で解決すればよいかを体系的に把握しておくことが重要です。
漏水対応は大きく3つのフェーズに分かれます。
- 漏水の疑いを確認する(発見フェーズ):水道メーター確認・目視・簡易試験
- 漏水箇所を特定する(調査フェーズ):音聴法・相関式・トレーサーガス法・電磁波レーダー
- 漏水箇所を修繕する(修復フェーズ):開削工法・非開削工法(ライニング・スリーブ)
本記事では、「調査フェーズ」の最先端手法であるトレーサーガス法と、最小限の工事範囲で修繕できる「非開削工法」を中心に解説します。いずれも近年の技術革新で実用化が進み、宮城県・仙台市エリアでも採用が広がっています。
トレーサーガス法:見えない漏水を高精度で検知

トレーサーガス法は、配管に特殊なガスを注入し、地面や壁から漏れ出るガスを高感度センサーで検知することで漏水位置を非破壊で特定する技術です。
使用ガスと安全性
主に使われるのは窒素95%・水素5%の混合ガス(水素窒素混合ガス)です。この配合では水素が燃焼・爆発する濃度(空気中4%以上)に達しないため、消防法上も安全に使用できます。水素分子は直径が極めて小さく(0.29nm)、コンクリート・アスファルト・土壌を透過しやすいため、微細な亀裂からの漏れも地表に現れやすい性質があります。
場合によってはヘリウムガスが用いられることもあります。不燃性・無害ですが、コストが高く土壌での拡散速度も異なるため、現場条件に応じて選択されます。
調査手順
- 断水・排水:調査対象区間の管内を排水し、ガスを充填できる状態にする
- ガス注入:止水栓・試験口などからトレーサーガスを充填し、規定圧力まで加圧する
- 浸透待機:ガスが亀裂から漏れ出て地表に浸透するのを待つ(通常15〜30分、地盤条件による)
- 表面スキャン:ガス検知センサーを地面・壁・床に沿って低速で移動させ、濃度をリアルタイム記録する
- 漏水箇所の特定:ガス濃度が急上昇した地点をマーキングする
- 通水復旧:ガスをパージして配管に通水し、調査完了
トレーサーガス法が他の手法より優れている場面
| 比較項目 | 音聴法 | 相関式探知 | トレーサーガス法 |
|---|---|---|---|
| 樹脂管(塩ビ・PE)への対応 | △(音が伝わりにくい) | △(精度低下) | ◎(材質問わず有効) |
| 深い埋設管(2m以深) | △ | ○ | ◎ |
| 微細漏水の検出 | △ | ○ | ◎ |
| 騒音環境での調査 | ✕ | ○(夜間推奨) | ◎(音に依存しない) |
| 初期費用 | ○(安価) | ○(中程度) | △(機材コスト高) |
音聴法・相関式探知が「音(振動)」を利用するのに対し、トレーサーガス法は「化学物質の拡散」を利用するため、騒音環境・樹脂管・深い埋設管での調査で圧倒的な優位性を持ちます。
費用の目安
- 戸建て住宅(屋内+引込管):3〜10万円程度
- マンション(1フロア・共用管含む):8〜20万円程度
- 道路埋設管・工場・大型施設:20〜100万円以上(規模・距離による)
はつり調査と比べると調査費用は同等〜やや高めですが、壁・床を破壊した箇所の復旧費用が不要なため、トータルコストは大幅に抑えられるケースがほとんどです。
電磁波レーダー・赤外線サーモグラフィによる補完調査
現場の状況に応じて、以下の補完技術を組み合わせて使用します。
電磁波レーダー探査(GPR)
地中レーダー(GPR:Ground Penetrating Radar)は、地面にレーダー波を照射して地中の構造物・空洞・異常を画像化する技術です。埋設管の位置確認、漏水による地盤空洞化・水分異常の検出に有効です。通水しながら調査が必要な場合や配管の位置自体が不明な場合のマッピングにも使われます。
赤外線サーモグラフィ
壁内・床下・天井裏の漏水は、水分による温度差として赤外線カメラに映ります。非破壊で広範囲をスキャンでき、「どの壁に漏れているか」という大まかな位置特定に役立ちます。ただし温度差が小さい場合や断熱材が厚い場合は感度が低下します。
非開削工法:掘らずに修繕する技術
漏水箇所が特定できたら次は修繕です。従来は「はつり工事」や「開削工事」が主流でしたが、近年は「非開削工法(トレンチレス工法)」が住宅・集合住宅・道路下埋設管など幅広い分野で採用されています。
パイプライニング工法(管内ライニング)
既存配管の内側に樹脂ライナーを挿入・硬化させ、管の内面に新しい管壁を形成する工法(「管更生」とも呼ばれます)。主な種類は以下の2つです。
光硬化ライニング(CIPP工法):光硬化性樹脂を含浸させたライナーを管内に反転挿入し、UVランプで硬化させます。硬化後は新管と同等の強度・耐久性を発揮します。管径50mm〜2000mm超まで対応でき、曲がりや合流部も通過できる柔軟性があります。
熱硬化ライニング:熱硬化性樹脂を用いたライナーを挿入し、温水・蒸気で硬化させる工法です。大口径管や長距離管に適しています。
スリーブ(短管)挿入工法
腐食・亀裂が局所的な場合、損傷箇所にステンレス製や樹脂製のスリーブを挿入・圧着する工法です。配管の口径・材質・損傷状況に応じた選択肢があります。
推進工法・さや管工法(引き替え)
損傷した旧管を破砕しながら新管を設置する「パイプバースティング」や、旧管の内部に一回り小さい管を通す「スリップライニング」など、既存管内に新管を引き込む手法も非開削の代表例です。
非開削工法の適用判断
道路下・建物基礎下・コンクリートスラブ内など掘削コストが高い箇所で最も効果を発揮します。一方で、管の変形や偏平が著しい場合、広範囲に損傷がある場合はライニング材の挿入自体が困難なため、開削・管更新の方が合理的なこともあります。
発見から修復までの標準フロー
Step 1 – 漏水の確認:全水栓を閉じ、水道メーターのパイロット指針が動いていれば漏水の疑いあり。水道局または専門業者へ連絡。
Step 2 – 一次スクリーニング:音聴法・目視・赤外線カメラで大まかなエリアを絞り込む。屋内配管なら配管カメラによる内部確認も有効。
Step 3 – 精密調査:「この区間」と絞れたら、相関式探知(金属管向け)またはトレーサーガス法(樹脂管・深い埋設管向け)で漏水点を特定。
Step 4 – 修繕工法の選定:漏水箇所・配管素材・損傷状況・掘削環境をもとに、開削修繕か非開削工法かを選択。
Step 5 – 施工と確認:修繕後、水圧試験またはトレーサーガス再調査で漏水解消を確認。
Step 6 – 再発防止策の提案:漏水原因(腐食・経年・施工不良・地震動等)を特定し、予防的点検・補修計画を提案。
森工業の漏水調査・修復サービス
森工業株式会社では、音聴法からトレーサーガス法まで多様な調査手法を駆使し、現場状況に最適な方法で漏水箇所を特定します。非開削工法にも対応しており、壁・床・道路の復旧コストを最小限に抑えた施工が可能です。
「水道料金が急増した」「メーターが止まらない」「床下や地面が湿っている」といったお悩みは早期対応が被害を最小化します。宮城県・仙台市を中心に迅速に現場対応いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
この記事をシェア