
給湯器を選び直す時、方式ごとの「効率」の数字が並べて比べられていることがあります。しかし、給湯器の省エネ性能は方式ごとに別の指標で表されていて、単位も測り方も違います。この記事では、住宅用給湯器の省エネ性能をどう読むかを、省エネ法の制度と国の補助事業の性能要件で確かめられる範囲で解説します。機種ごとの光熱費の差は使い方で大きく変わるため、目安の金額や回収年数は載せていません。
給湯器は省エネ法のトップランナー制度の対象
省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)は、製造事業者等にエネルギー消費効率の向上を求める機器(特定エネルギー消費機器)を政令で定めています。施行令は、その中に給湯器にあたる次の3つを挙げています(省エネ法施行令第18条)。
これらの機器は、区分ごとに目標とする基準値(目標基準値)が定められる「トップランナー制度」の対象です。国の給湯省エネ2026事業も、エコキュートの性能要件を「トップランナー制度において、2025年度目標基準値以上の性能」としています(給湯省エネ2026事業 エコキュート)。
方式ごとに違う効率の指標

国の補助事業の性能要件を見ると、方式ごとに使われている指標が違うことがわかります。
| 方式 | 補助の性能要件で使われる指標 | 値の表し方 |
|---|---|---|
| エコキュート(ヒートポンプ給湯機) | JIS C 9220 の年間給湯保温効率または年間給湯効率 | 3.0、3.5 のような数値 |
| ハイブリッド給湯機(電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型) | 日本ガス石油機器工業会の規格(JGKAS A705)の年間給湯効率 | 108% のような百分率 |
出典は給湯省エネ2026事業 エコキュートとハイブリッド給湯機の性能要件です。このように、指標の定義も単位も違うため、エコキュートの「3.5」とハイブリッド給湯機の「108%」をそのまま並べて、どちらの効率が高いかを比べることはできません。ガス給湯器や石油給湯器の性能も、それぞれの機種の資料で、どの指標の値なのかを確かめてから読む必要があります。
エコキュートの2025年度目標基準値と寒冷地の区分
エコキュートの2025年度目標基準値は、想定する世帯・貯湯缶数・貯湯容量と、一般地か寒冷地かで区分されています(給湯省エネ2026事業 エコキュート)。
| 区分 | 一般地 | 寒冷地 |
|---|---|---|
| 少人数 | 3.0 | 2.7 |
| 標準・一缶・320L未満 | 3.1 | 2.7 |
| 標準・一缶・320L以上550L未満 | 3.5 | 2.9 |
| 標準・一缶・550L以上 | 3.2 | 2.7 |
| 多缶 | 3.0 | 2.7 |
寒冷地の区分の基準値は、一般地より低く定められています。同じ容量のエコキュートでも、一般地向けと寒冷地向けでは基準になる値が違うため、カタログの値を見る時は、どの区分の機種かを先に確かめます。設置する地域の冬の気温に合わせて、寒冷地向けの仕様が必要かどうかも確かめておきます。
国の補助の性能要件から見る「高効率」の線
給湯省エネ2026事業は、性能要件を満たす機種だけを補助の対象にしていて、その要件は「高効率」とされる線の一つの目安になります。
- エコキュート:2025年度目標基準値以上の性能に加えて、インターネットに接続でき、翌日の天気予報や日射量予報に連動して昼間に沸き上げをシフトする機能を持つこと(またはおひさまエコキュート)。目標基準値に0.2以上上乗せした性能値の機種は、性能加算の対象です
- ハイブリッド給湯機:JGKAS A705 の年間給湯効率が108%以上で、インターネットに接続でき、昼間の再エネ電気を積極的に自家消費する機能を持つこと。116.2%以上の機種は性能加算の対象です
どちらの性能加算も、基本の性能要件の機種よりCO2排出量が5%以上少ないものとして設けられています(給湯省エネ2026事業のエコキュート・ハイブリッド給湯機の頁)。補助の額と対象になる住宅・申請の流れはエコキュートの補助金と設置工事で解説しています。
光熱費の差を見積もる時に確かめる条件
効率の値は規格で決めた条件で測った値で、実際の光熱費は使い方と料金の条件で変わります。給湯器を選ぶ時は、効率の値に加えて次の条件を並べて比べます。
- 使う湯の量と時間帯(家族の人数、入浴やシャワーの習慣)
- 電気・ガス・灯油の料金の契約メニュー
- 設置する地域の冬の気温(一般地か寒冷地か)
- 太陽光発電の有無(昼間に沸き上げる機能やおひさまエコキュートを生かせるか)
- 給湯器から蛇口までの給湯配管の長さと保温の状態
- 機器の価格・工事費と、使える補助の額
配管工事から見た給湯器の更新
給湯器の方式を変える時は、機器だけでなく設置場所と配管も変わることがあります。
- 貯湯タンクを置く方式への変更:エコキュートやハイブリッド給湯機は貯湯タンクを据え付けるため、基礎と転倒防止の工事が加わります。給湯設備の設置は、平成24年国土交通省告示第1447号で改正された告示に従います(日本冷凍空調工業会「家庭用ヒートポンプ給湯機の転倒防止対策について」)
- 配管の延長と保温:設置場所が変わると給水・給湯配管の延長が要り、屋外の配管は保温と凍結対策を見積もりに含めます
- 使わなくなる設備の処理:ガス給湯器や灯油給湯器から替える場合は、使わなくなるガス配管・送油管の処理も工事に含めます
既存の給湯配管が長い、保温が傷んでいるといった場合は、機器の更新に合わせて配管の更新を検討すると、配管の放熱による損失を減らせます。
森工業へのご相談
森工業は法人・事業者様専門で、賃貸住宅を所有する法人の給湯設備工事や、工場・施設の給湯配管工事に対応しています(個人宅の工事は対象外です)。給湯器の方式の変更に伴う配管の延長・保温・既存配管の処理を含めて、給湯設備の更新工事のご相談はお問い合わせフォームよりお寄せください。
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