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配管のねじ込み接合では、ねじ山の隙間を埋めるためにシールテープや液状シール材を使います。どちらも身近な材料ですが、巻き方や塗り方、流体との相性を誤ると、通水後にじわじわと滲む漏れや、後年の分解不能といったトラブルにつながります。この記事では、ねじ込み継手のシール材の役割と種類、使い分け、施工時の要点を整理します。
ねじ込み継手でシール材が必要な理由
ねじ込み継手は、鋼管などの端部に切ったおねじと、継手側のめねじをかみ合わせて接続する方式です。配管用のねじには、先端に向かって細くなるテーパねじがよく使われます。テーパねじは、締め込むほどねじ山同士が密着していく構造ですが、金属同士の面だけで完全に流体を止めるのは難しく、ねじ山の谷や加工のわずかな凹凸が漏れの通り道になります。
そこでシール材の出番です。シール材はねじ山の隙間を埋め、潤滑剤として締め込みを助ける役割も果たします。つまり、シール材は「漏れを止める最後の一手」ではなく、ねじの加工精度や締め込みの適正さと組み合わせて初めて機能する補助材料です。ねじ山が傷んでいたり、斜めに入っていたりする状態でシール材を厚く足しても、根本的な解決にはなりません。
ねじ込み継手そのものの種類については、配管継手の種類と選び方で、鋼管の基本についてはSGPなど配管用炭素鋼鋼管の基礎で解説しています。
シールテープと液状シール材の違い

ねじ込み部に使われる代表的なシール材は、次の2種類です。
- シールテープ:PTFE(フッ素樹脂)製の薄いテープで、ねじ山に巻き付けて使います。乾いた状態で扱え、硬化を待つ必要がありません
- 液状シール材(ペースト状):ねじ山に塗って使う材料で、硬化しないタイプと、時間とともに固まるタイプがあります
それぞれの特徴を比較すると、次のようになります。
| 項目 | シールテープ | 液状シール材 |
|---|---|---|
| 作業性 | 巻く手間はあるが、手が汚れにくい | 塗るだけで速いが、はみ出しの処理が必要 |
| 対応できる流体 | 水・空気など幅広い(製品の適合表を確認) | 製品ごとに水用・ガス用・油用などが分かれる |
| 再施工 | 外して巻き直しやすい | 硬化型は分解に手間がかかる場合がある |
| 失敗しやすい点 | 巻き方向の誤り、巻きすぎ、先端のはみ出し | 塗りすぎによる管内への流入、使用流体への不適合 |
どちらが絶対に優れているというわけではなく、配管の用途、流体、再分解の可能性、現場の作業条件で選びます。
流体と用途に合わせた選び方
シール材選びで最も大切なのは、その配管に流れる流体に適合しているかどうかです。
- 給水・給湯配管:飲料水に触れる部分には、水道用として使用できると表示された製品を選びます。給湯では使用温度の上限も製品ごとに異なるため、仕様書で確認してください
- ガス配管:ガス用として明記された製品を使います。水用のテープや汎用ペーストを流用してはいけません
- 蒸気・高温配管:耐熱温度が十分な製品を選びます。一般的な水用の製品では耐えられない場合があります
- 薬液・油配管:流体によってシール材が膨潤したり溶けたりすることがあるため、メーカーの耐薬品性の資料を確認します
- 圧縮空気配管:多くの製品が使えますが、コンプレッサー油への耐性は確認しておきます
工場やプラントでは、同じ施設内でも系統ごとに流体が異なります。現場の在庫として万能のペーストを一つだけ用意するのではなく、系統ごとの適合品を整理しておくことが、取り違えの防止になります。
シールテープの正しい巻き方
シールテープの施工では、次の点が基本です。
- ねじ山の汚れ、切削油、バリを取り除き、乾いた状態にします
- 管の先端のねじ山を1山ほど残し、そこから手前に向かって巻き始めます。先端まで巻くと、はみ出したテープが管内に入り込み、弁やストレーナの詰まりの原因になります
- 巻く方向は、継手を締め込む回転方向と同じにします。ねじ山を正面から見て、締める向きにテープが押し付けられるように巻くのが基本です。逆に巻くと、締め込み時にテープがほどけたりずれたりします
- テープを軽く引っ張りながら、ねじ山の谷に沿わせて重ねて巻きます。管径が大きいほど巻く量は多めに、小さい管では巻きすぎないようにします
- 継手を手でねじ込み、その後に工具で規定の範囲まで締めます
巻き数を一律に決めている現場もありますが、製品の厚みやねじの状態で適量は変わります。巻きすぎるとねじが最後まで入らず、継手を割る原因にもなるため、手で入る長さを目安に確認しながら調整するのが実務的です。
液状シール材を使うときの注意点
液状シール材は、次の点に気を付けて使います。
- ねじ山の全周に薄く均一に塗ります。管の先端のねじ山には塗らず、管内へ入り込まないようにします
- 塗りすぎると、締め込み時に余剰分が管内に押し出されます。給水設備では水質や機器への影響につながります
- 硬化型は、締め直しや分解に手間がかかります。将来メンテナンスで外す可能性がある箇所では、硬化しないタイプを選ぶと扱いやすくなります
- 使用期限や、使用できる温度・圧力の範囲を確認します。古くなった製品は硬化が不安定になることがあります
また、シールテープと液状シール材の併用を認めている製品もあれば、推奨していない製品もあります。メーカーの施工要領に従ってください。
漏れを防ぐための確認と、やってはいけない対応
施工後は、水圧テストや気密試験で漏れを確認します。試験は、継手の増し締めで対処するのではなく、締め込みと養生を終えた状態で規定の圧力をかけて行います。
漏れが出たときに避けたい対応は次のとおりです。
- 締め込み不足を疑って、必要以上に増し締めする。継手の割れやねじ山の損傷につながります
- 漏れた箇所にシール材を上塗りする。根本原因が加工不良や劣化であれば、改善しません
- 一度ほぐしたテープを再利用する。必ず古いテープを取り除いて巻き直します
漏れが再発する場合は、継手を外してねじ山の状態を確認し、傷みがあれば部材ごと交換します。
施工品質を安定させるために
ねじ込み接合の品質は、シール材の種類だけでなく、ねじ切りの精度、巻き方の統一、流体適合の確認、試験の実施という一連の流れで決まります。施工要領を現場で共有し、材料の適合品を系統別に管理しておくことで、担当者が変わっても品質を保てます。
工場・商業施設・賃貸物件の共用部など、法人・事業者様の配管工事や点検・改修に関するご相談は、お問い合わせフォームよりお寄せください。
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