
浄化槽を新設・入替する理由
下水道が整備されていない地域で建物を新築する場合や、老朽化した浄化槽を交換する場合には浄化槽の設置工事が必要になります。宮城県では仙台市中心部を除く郊外・農村地帯や沿岸部を中心に浄化槽利用世帯が多く、亘理郡や石巻市・登米市などでも新設・入替の需要が続いています。
また、古い単独処理浄化槽(トイレ汚水のみを処理するもの)を使い続けている場合、生活雑排水がそのまま放流されるため河川汚濁の原因となります。浄化槽法では単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換が推奨されており、自治体によっては転換補助金制度が設けられています。転換時の費用や手順は合併処理浄化槽と単独処理浄化槽の違いでも詳しく解説しています。
さらに、既設浄化槽が老朽化したケースや、増改築により処理能力が不足してきたケースでも入替工事が必要になります。本記事では浄化槽の設置工事費用・施工の流れ・補助金制度について詳しく解説します。
浄化槽設置工事の費用を左右する条件

浄化槽の設置工事費用は、浄化槽本体の規模(人槽)と地盤条件、既設の撤去有無などによって大きく異なります。
戸建住宅の新設(合併処理浄化槽)の場合: 費用は浄化槽本体と設置工事(掘削・基礎・配管・埋め戻し・残土処理)からなり、地盤が軟弱だったり水位が高い土地では基礎工事が増額になります。環境省の資料は、国の助成の基準とする標準的な浄化槽設置費用(本体と工事費。宅内配管工事費を含む)を5人槽(通常型)83.7万円・7人槽(通常型)104.3万円としています(環境省「これからの浄化槽について」令和5年1月)。実際の工事費は、現地の条件を確かめたうえでの見積もりで決まります。
単独処理浄化槽からの入替工事: 新設の費用に、既設浄化槽の撤去と廃棄処分の費用が加わります。下水道が整備済みのエリアでは、浄化槽から下水道への接続切り替えという選択肢もあり、浄化槽から下水道への切り替えの手続きで、浄化槽の廃止の手続きと費用を左右する条件を確認できます。
大型(10人槽〜30人槽)の場合: アパートや小規模店舗向けの大型浄化槽は、人槽が大きくなるほど本体・工事ともに費用が大きくなるため、建物の用途・規模に合わせた設計の段階で見積もりを取って確かめてください。
なお、設置後は浄化槽管理者として、定期的な保守点検・清掃(浄化槽法第10条)と毎年の法定検査(第11条)を受ける義務があり、その費用が毎年かかることも念頭に置いて検討してください。日常の維持管理の内容は浄化槽の仕組みと維持管理にまとめています。
補助金制度を活用する
合併処理浄化槽の設置や、単独処理浄化槽からの転換には、市町村の補助が使える場合があります。環境省の資料によると、個人が浄化槽を設置して市町村が設置費用を助成する事業(浄化槽設置整備事業)に、国が循環型社会形成推進交付金で助成しています(国の助成率は1/3。環境配慮・防災まちづくりに資する整備などは1/2)。単独処理浄化槽からの転換では、単独処理浄化槽の撤去費と、転換に伴う宅内配管工事の費用(上限30万円)も国の助成の対象です(環境省「これからの浄化槽について」令和5年1月)。実際に補助を出すのは市町村で、制度の有無・額・対象区域は市町村ごとに異なります。
宮城県内の例(各町の頁による):
- 亘理町:公共下水道事業計画の認可区域以外の地域で、10人槽以下の合併処理浄化槽を住宅に設置する方が対象(建売住宅は対象外)。限度額は5人槽402,000円・6〜7人槽545,000円・8〜10人槽802,000円です。単独処理浄化槽を撤去しなければ合併処理浄化槽を設置できない場合の撤去費の補助(限度額90,000円)もあります(亘理町「合併処理浄化槽について」)。
- 山元町:公共下水道区域・農業集落排水事業区域以外に、新たに合併処理浄化槽を住宅に設置する方で、町の頁の条件(販売目的の住宅でない・借家は賃貸人の承諾がある など)をすべて満たす方が対象。補助額は5人槽332,000円・7人槽414,000円・10人槽548,000円です。工事の着工は補助金交付決定通知を受けてからで、予定件数に達すると年度の途中でも受付を終える場合があります(山元町「浄化槽設置補助金」)。
補助の申請の時期(着工前の申請や交付決定が要るか)と最新の額は、工事の前にお住まいの市町村の担当窓口で確認してください。申請には工事業者が用意する書類も要るため、施工業者に相談しながら進めることをお勧めします。宮城県・仙台市の給水・浄化槽関連の補助制度全般は宮城県・仙台市の水道工事の補助・融資制度でも一覧できます。
浄化槽設置工事の申請手続き
浄化槽工事には行政への届出・申請が必要です。主な手続きは以下のとおりです。
浄化槽設置届出(浄化槽法第5条): 浄化槽を設置する前に、都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)と、知事を経由して特定行政庁に届け出ます。届出が受理された日から21日(型式の認定を受けた浄化槽は10日)を経過した後でなければ、工事に着手できません(相当と認める旨の通知を受けた場合を除く。同条第4項)。設置届には浄化槽の構造・規模・設置場所・施工業者の登録番号などを記載します。
建築確認申請との連動: 新築建物に浄化槽を設置する場合は、建築確認申請の中で浄化槽に関する図面・仕様を記載します。既存建物への設置や入替の場合は浄化槽法に基づく届出のみで対応できる場合が多いです。
施工業者の登録: 浄化槽工事業を営むには、都道府県知事の登録が必要です(浄化槽法第21条。土木工事業・建築工事業・管工事業の建設業許可を受けた業者は、登録に代えて知事への届出=第33条)。浄化槽工事業者は営業所ごとに浄化槽設備士を置き、工事は浄化槽設備士が実地に監督します(第29条)。依頼先の業者が登録(または届出)をしているか確認してください。
工事の流れ(着工から検査まで)
浄化槽設置工事の一般的な施工ステップは以下のとおりです。
1. 現地調査・設計: 土地の条件(地盤・水位・既設配管の状況)を確認し、浄化槽の規模・機種・設置位置を決定します。
2. 届出・補助金申請: 設置の届出をし、受理から21日(型式の認定を受けた浄化槽は10日)を経過してから着工します(浄化槽法第5条第4項)。補助を受ける場合は、着工前に申請や交付決定が要るかを市町村に確かめておきます。
3. 掘削・基礎工事: バックホーで設置位置を掘削し、地盤条件に応じて砂やコンクリートで基礎を施工します。水位が高い場合はコンクリート製の浮上防止工事が必要になることがあります。
4. 浄化槽本体の据付: クレーンで浄化槽本体を吊り込み、設計位置に正確に据え付けます。設置後は本体が傾かないよう基礎との固定を確認します。
5. 配管接続工事: 建物内の排水管・汚水管を浄化槽の流入口に接続し、放流先(側溝・水路など)まで放流管を敷設します。配管の勾配管理が重要で、勾配不足があると汚物が詰まる原因になります。
6. 埋め戻し・仕上げ: 浄化槽周囲を埋め戻し、マンホール蓋を設置して地面を整地します。
7. 竣工検査・使用前検査: 工事完了後に浄化槽法に基づく「設置後等の水質検査(7条検査)」の申請を行います。使用開始後3〜8か月以内に指定検査機関が水質検査を実施します。検査後も継続する法定検査・清掃の義務については合併浄化槽の法定検査・定期清掃の義務と流れで確認できます。
工事中の生活への影響と注意点
浄化槽の設置工事は、掘削・埋め戻しの作業を伴うため工事期間中は騒音・振動・車両の往来が発生します。近隣への挨拶や工事時間帯のお知らせは施工前に行っておきましょう。
既存の排水経路を一時的に切り替える場合は、断水・排水停止期間が生じることがあります。事前に業者から工程の説明を受け、工事期間中の生活への影響を確認しておくことが重要です。
工事後は浄化槽の初期立ち上げのため、しばらくは洗剤の使用量を控えめにすることをお勧めします。浄化槽内の微生物が定着する期間は処理能力が本格的な状態に達していないため、大量の洗剤や消毒液を流すと微生物が死滅するリスクがあります。
森工業への相談
森工業は法人・事業者様専門で、工場・店舗・賃貸物件の共用部などの給排水設備工事・排水設備工事に対応しています(個人宅の工事は対象外です)。浄化槽の補助の有無や要件は市町村が定めるため、各窓口で確かめたうえで、建物の排水設備の工事のご相談はお問い合わせフォームよりお寄せください。
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