
建設現場における仮設給水配管の必要性
建設現場では、工事の進行に伴ってさまざまな用水が必要になります。コンクリートの養生水・型枠の洗浄水・土埃の散水抑制、そして作業員が生活するための飲料水・洗面用水など、現場の規模によっては1日に数トン単位の水を安定供給しなければなりません。
こうしたニーズに対応するのが「仮設給水配管工事」です。本設の建物に接続する恒久的な給水工事とは異なり、工事期間中だけ使用する一時的な配管を水道本管から引き込み、現場内の必要箇所へ安定的に送水します。
仮設給水が不十分な現場では、散水不足による粉塵問題・コンクリート品質の低下・作業員の衛生環境の悪化といったリスクが生じます。工程管理と品質確保の両面から、仮設給水配管は現場立ち上げ初期に確実に整備すべき重要インフラです。
水道局への届出・申請手順

仮設給水であっても、水道本管から引き込む場合は各地域の水道局(または水道事業体)への申請・届出が必要です。無断で本管に接続した場合は水道法違反となるため、必ず正規の手続きを踏んでください。
主な申請・手続きの流れ
- 給水装置工事申込書の提出:指定給水装置工事事業者(市区町村の指定を受けた業者)が水道局に申し込みます。一般の施工会社が直接申請することはできません。
- 工事設計書・図面の提出:引き込み位置・管径・流量計算書などを添付します。
- 水道局による審査・承認:審査期間は自治体によって異なりますが、概ね1〜2週間程度を見込んでください。
- メーター設置と工事着工:承認後、仮設メーターを設置してから配管工事を開始します。
- 水道使用契約(仮設):工事期間中の使用量に応じて水道料金が発生します。
申請から着工までの期間を見越して、工程表に余裕を持たせることが重要です。着工日ギリギリに申請すると、審査遅延で現場に水を確保できないトラブルに直結します。
設計・施工の流れ
現地調査と設計
仮設給水の設計は、現場の規模・工期・使用箇所の数と位置をもとに行います。
- 使用水量の算出:コンクリート打設量・作業員数・散水頻度などから1日の最大使用水量を試算します。
- 管径の選定:使用水量と配管延長から適切な管径(13A・20A・25Aが一般的)を計算します。管径が小さすぎると水圧不足、大きすぎるとコストが膨らみます。
- 引き込み位置の確認:既存の水道本管の位置・口径・水圧を事前に確認し、分岐点を決定します。
施工手順
- 掘削・分岐工事:本管からのサドル分水栓取り付けや割T字管による分岐を行います。この工事は断水を伴う場合があり、近隣への事前周知が必要です。
- 仮設メーター設置:水道局が指定する位置に量水器ボックスを設置します。
- 配管の敷設:現場内にHIVP管(耐衝撃性塩化ビニル管)やポリエチレン管を配管します。地中埋設の場合は凍結深度以下への埋設が基本ですが、仮設の場合は地上露出配管+保温材巻きで対応するケースも多くあります。
- 各所への分岐・栓設置:作業員詰所・洗い場・散水栓・コンクリートプラントなど、必要箇所に止水栓付きで分岐します。
- 通水試験・水圧確認:施工後に加圧テストを行い、漏水がないことを確認してから使用を開始します。
仮設給水配管の費用相場
仮設給水工事の費用は、現場の規模・引き込み距離・管径・工期によって大きく変わります。以下はあくまで目安です。
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 本管分岐・メーター設置 | 15万〜40万円 |
| 現場内配管敷設(50m程度) | 10万〜25万円 |
| 撤去・復旧工事 | 8万〜20万円 |
| 水道使用料(工期6ヶ月) | 3万〜15万円 |
中規模現場(延床1,000〜3,000㎡程度)では、合計40万〜100万円前後が一般的な範囲です。大規模現場や長工期になると、使用水量・管延長ともに増大するため、費用も比例して上昇します。
コスト削減のポイントは、現場内配管に再利用可能なパイプや継手を使うこと、複数の使用箇所をまとめて系統設計し管延長を最小化することです。
工事完了後の撤去・復旧
仮設給水配管は、建物本設の給水工事が完了して引き渡しが近づいた段階で撤去します。撤去を怠ると水道局への返還手続きができず、仮設メーターの料金が発生し続けるため注意が必要です。
撤去・復旧の手順
- 現場内配管の撤去(地中埋設部は掘削・引き抜き)
- 仮設メーターの返却(水道局立ち合いが必要な場合あり)
- 本管分岐部の止水・管端キャップ処理または割T字管の本管復旧
- 道路・舗装の復旧(本管が公道下にある場合は道路占用許可の解除手続きも必要)
撤去後に水道局への「工事完了届」を提出し、料金の精算を完了させます。精算が遅れると余分な水道料金が発生することがあるため、引き渡しスケジュールに合わせて事前に手続きを計画してください。
よくある失敗例と対策
申請遅延による工程遅れ
最も多いトラブルが申請タイミングの遅れです。現場着工直前に申請しても、水道局の審査・承認・工事に時間がかかり、現場に水がない状態で工事がスタートするケースがあります。着工の1ヶ月前を目安に申請準備を開始してください。
管径不足による水圧低下
設計段階で使用水量を過小評価すると、コンクリート打設のピーク時に水圧が落ちて作業が滞ります。余裕をもった管径選定と、ピーク時流量を考慮した設計が重要です。
露出配管の凍結・破損
冬期施工で地上露出配管を適切に保温しないと、気温低下で凍結・破管するリスクがあります。仙台市を含む東北地方では冬季の凍結対策が特に重要です。発泡ポリエチレン製の保温チューブを全長に巻き、特に継手部・バルブ周りを重点的に保温してください。
撤去漏れによるトラブル
竣工・引き渡しの慌ただしさの中で仮設配管の撤去が後回しになり、仮設メーターの料金が余分に発生したり、舗装復旧が未了のまま道路を引き渡してしまうケースがあります。撤去・復旧を工程表に明記し、担当者を決めて管理することが重要です。
建設現場の仮設給水配管工事は、計画段階での申請準備・適切な設計・施工後の撤去まで一貫した管理が求められます。森工業株式会社では、指定給水装置工事事業者として申請手続きから施工・撤去まで一括対応しています。仮設給水工事のご相談はお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
Q. 仮設の給水でも水道局への申請は必要ですか?
A. 必要です。仮設であっても水道本管から引き込む場合は各地域の水道局への申請・届出が必要で、無断接続は水道法違反となります。申請は指定給水装置工事事業者が行い、水道局の審査期間は概ね1〜2週間程度を見込みます。
Q. 仮設給水配管の申請はいつから準備すべきですか?
A. 着工の1ヶ月前を目安に申請準備を開始するのが安全です。最も多いトラブルは申請タイミングの遅れで、着工直前に申請すると審査・承認・工事に時間がかかり、現場に水がない状態で工事が始まってしまうおそれがあります。
Q. 仮設給水配管工事の費用相場はどのくらいですか?
A. 目安として、本管分岐・メーター設置が15万〜40万円、現場内配管敷設(50m程度)が10万〜25万円、撤去・復旧工事が8万〜20万円です。中規模現場(延床1,000〜3,000㎡程度)では合計40万〜100万円前後が一般的な範囲です。
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