
受水槽撤去・直結給水切替とは
受水槽(貯水槽)とは、水道本管からの水をいったん蓄積し、ポンプで各住戸・各フロアに供給する給水設備です。1990年代以前の建築物に広く採用されてきた一方で、テクノロジーの進歩と水圧管理技術の向上により、受水槽を経由しない「直結給水方式」への切り替えが全国で進展しています。
直結給水方式には「直結直圧方式」(増圧ポンプなしで水圧のみで給水)と「直結増圧方式」(増圧給水ポンプを設置して高層階まで給水)の2種類があります。3〜5階建てのマンションの場合は直結増圧方式が採用されることが多く、6階以上の高層建物でも大型の増圧ポンプで対応可能となっています。
直結化検討タイミングとしては、受水槽の耐用年数(FRP槽15〜20年、ステンレス槽20〜25年)に達したとき、清掃点検費用が増大したとき、水質管理の効率化が必要なときなどが挙げられます。
受水槽撤去・直結化のメリット

水質の向上:受水槽内では水が長時間停滞するため、残留塩素が低下し、夏場には水温上昇によって細菌が繁殖しやすい環境になります。直結給水では常に新鮮な水道水が直接供給されるため、水質が大幅に向上します。
維持管理費の削減:有効容量10㎥超の受水槽(簡易専用水道)については水道法に基づく清掃(1年以内ごとに1回)と検査が義務付けられており(10㎥以下の小規模な貯水槽は自治体の条例等が適用されます)、年間10〜30万円程度のランニングコストが生じています。撤去後は当該費用が削減されます。
スペースの有効活用:スペースを駐車場・機械室・屋上緑化など他の用途に活用できます。
停電リスクの軽減:停電時の断水リスクが軽減されます。
修繕積立金の節約:受水槽更新費用(100〜300万円程度)が不要になります。
工事の流れと手順
事前調査・設計 水道局との事前相談と現地調査を実施して、建物階数・使用水量・既存配管状況・管網水圧を確認し、直結増圧ポンプの必要能力を算出します。水道局が認可条件を確認します。
水道局への申請 方式変更には、水道局への書類申請と審査が必要です。必要書類は給水装置変更工事申請書・配管図面・増圧ポンプ仕様書などです。指定工事事業者が代行対応します。
増圧ポンプ設置 配管を変更して増圧ポンプを設置します。既存配管を撤去して、新規に水道本管から屋内配管へ直結接続します。
受水槽撤去 ポンプ切替後に、既存の受水槽(FRP槽・ステンレス槽)を撤去します。地下ピット型は解体搬出が必要で、屋上型は重機での撤去となります。内部水の排出も含まれます。
水質検査・完成検査 工事完了後に水道局の完成検査を受け、水質基準を満たしていることを確認します。
費用の目安
| 工事内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 増圧給水ポンプ設置工事 | 80〜200万円 |
| 受水槽撤去工事(FRP槽・小型) | 30〜80万円 |
| 受水槽撤去工事(ステンレス槽・大型) | 80〜200万円 |
| 配管変更・接続工事 | 20〜100万円 |
| 水道局申請費用 | 5〜15万円 |
| 合計(中規模マンション目安) | 200〜500万円程度 |
費用は建物の規模・受水槽の種類・設置場所(地下・屋上)・増圧ポンプの能力・既存配管の状態によって大きく変動します。複数の業者から詳細な見積もりを取り、内容を比較することを強く推奨します。
注意点・デメリット
初期費用の大きさ:直結化に伴う工事費は一時的に高額になります。ただし、受水槽の更新工事費用と今後の維持管理費の節約分を合算すると、長期的には費用対効果が高いケースが多くあります。試算では10〜15年で投資回収できるケースが一般的です。
水圧の安定性:直結直圧方式では地域の水道管網の水圧に依存するため、朝の使用ピーク時などに水圧が低下することがあります。増圧ポンプを設置することでこの問題は解消されますが、停電時にはポンプが停止します。
建物への適合性:築年数が古い建物では屋内配管の劣化が進んでいるため、直結化と同時に屋内配管の更新も必要になる場合があります。配管の劣化状態を事前に管内カメラ調査で確認することをお勧めします。
水道局の認可条件:地域の水道管の管径・水圧によっては、直結増圧方式の認可が下りない場合があります。特に老朽化した配水管網がある地域では事前協議が重要です。
受水槽の撤去・直結化を検討するタイミング
以下に当てはまる場合は、直結化への切り替えを積極的に検討する価値があります。
- 受水槽の築年数が15年以上で、更新時期が迫っている
- 年間の受水槽清掃・水質検査費用が10万円以上かかっている
- 水質(臭い・色)への入居者クレームがある
- 受水槽スペースを他の用途に転用したい
- マンションの大規模修繕計画にあわせて給水設備も一新したい
森工業株式会社では、受水槽の撤去・直結給水切替工事に関する無料相談・現地調査を承っております。水道局への申請手続きから撤去・増圧ポンプ設置まで一貫して対応いたします。お気軽にご相談ください。
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