
建物附属設備の減価償却の基本
不動産投資・賃貸経営では建物本体だけでなく、建物に附属する設備(給排水設備・電気設備・空調設備等)についても適切な減価償却の管理が必要です。
設備の取得・更新費用を正しく減価償却することで、節税効果と利益管理の最適化が図れます。一方、経費計上の方法を誤ると過少・過大申告のリスクが生じるため、基本的な考え方をしっかり押さえておくことが重要です。
建物附属設備の法定耐用年数一覧

法人税法・所得税法の耐用年数省令別表に基づく建物附属設備の法定耐用年数(主要なもの)は以下の通りです。
電気設備
| 設備の種類 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 蓄電池電源設備 | 6年 |
| その他の電気設備(分電盤・配線等) | 15年 |
給排水設備・衛生設備・ガス設備
| 設備の種類 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 給排水設備・衛生設備・ガス設備 | 15年 |
これが給水管・排水管・ガス管・水道メーター・給湯器等の耐用年数の根拠となります。 配管材ごとの実際の寿命との違いや賃貸物件での更新サイクルは賃貸物件の配管法定耐用年数と更新サイクル|給水管15年・排水管の実態で解説しています。
冷暖房設備(空調設備)
| 設備の種類 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 冷暖房設備(冷凍機の出力22kW以下) | 13年 |
| 冷暖房設備(冷凍機の出力22kW超) | 15年 |
エアコン・空調設備の区分(器具備品6年/建物附属設備13年・15年)の詳しい判定はエアコンの法定耐用年数は何年?減価償却・税務・設備更新計画への活用を参照してください。
消火・排煙設備
| 設備の種類 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 消火設備・排煙設備・緊急通報設備 | 8年 |
修繕費と資本的支出の区分(最重要)
建物附属設備の工事費用を「修繕費」として当期費用計上するか「資本的支出」として減価償却するかの判断は、税務上とくに重要なポイントです。
修繕費として扱える場合
- 現状回復のための工事(同等仕様への交換・修繕)
- 20万円未満の工事
- 3年以内ごとに発生する周期的な修繕
修繕費は支出した年の損金(費用)として全額計上できます。
資本的支出(減価償却)として扱う場合
- 設備の改良・グレードアップを伴う工事(耐用年数延長・性能向上)
- 追加・新設工事
- 支出額が20万円以上で修繕と判断できない工事
資本的支出は法定耐用年数で分割して損金算入(減価償却費として毎年計上)します。
判断が難しい「グレーゾーン」
実務では「修繕費」か「資本的支出」かの判断に迷うケースが少なくありません。以下の基準を参考にしてください。
- 原状回復(同じ仕様・同じ性能への交換):修繕費
- より高性能・高グレードへの更新:資本的支出(原状回復相当分は修繕費・差額分は資本的支出として按分)
判断に迷う場合は税理士への相談を強くお勧めします。
実務上の計算例
例1:給水管更新工事(原状回復・戸建て1棟)
工事費:80万円 判断:既存鋼管を同等仕様のポリエチレン管に更新(原状回復)
→ 修繕費として80万円を当期費用計上(即時全額損金)
例2:給水管更新工事(グレードアップ)
工事費:100万円(鋼管→より高性能なステンレス管への更新) 判断:材料グレードアップが資本的支出と判断
→ 法定耐用年数15年で減価償却(毎年約6.7万円を損金算入)
例3:エコキュート設置(ガス給湯器からの更新)
設備費・工事費:60万円 判断:給湯システムの種類が変わる(ガス→電気)ため資本的支出
→ 給排水設備15年で減価償却(毎年4万円を損金算入)
区分所有マンション(1棟所有)での管理
複数戸を所有・管理する場合は設備台帳の整備が欠かせません。
設備台帳に記録すべき内容
- 設備の種類・名称
- 設置日・取得価格
- 耐用年数・残存価格
- 更新予定時期(長期修繕計画との連動)
設備台帳を整備しておくことで、減価償却の計算・修繕計画の立案・税務申告の根拠資料として幅広く活用できます。
消費税の扱いと注意点
工事費用に含まれる消費税は、課税事業者の場合は仕入税額控除の対象です。インボイス制度(2023年10月開始)対応の適格請求書を受領することが、消費税の仕入控除に必要な要件となっています。
消費税の取り扱いやインボイス対応については税理士に確認してください。
森工業株式会社へのご相談
森工業株式会社は賃貸物件・建物の給排水設備工事に対応しています。工事後に税務申告で必要な「工事内容の明細書(修繕費か資本的支出かの判断根拠資料)」の作成についてもご相談いただけます。宮城県・仙台市エリアを中心に、現地調査・見積もりは無料で承っております。お気軽にお問い合わせください。
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