
配管の法定耐用年数とは
法定耐用年数とは、税法(法人税法・所得税法)で定められた資産ごとの耐用年数のことで、減価償却費を計算する際の基準として使われます。建物の附属設備として設置された配管は「給排水設備」に分類され、その法定耐用年数は15年と定められています。賃貸物件を保有するオーナーにとって、この15年という数字は減価償却や修繕計画を考えるうえでの出発点になります。
ただし、法定耐用年数はあくまで税務上の区切りであり、実際に配管を使い続けられる物理的な寿命とは必ずしも一致しません。適切なメンテナンスを続ければ法定耐用年数を大きく超えて使える場合もあれば、逆に使用環境や水質によっては15年を待たずに更新が必要になるケースもあります。「15年で必ず交換」と機械的に考えるのではなく、税務基準と実際の劣化度合いを分けて捉えることが大切です。
配管材別の実際の耐用年数

税法上の15年とは別に、各配管材料が実際にどれくらい持つのか、その物理的な耐用年数の目安を整理すると以下のとおりです。
| 配管材料 | 実際の耐用年数目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 亜鉛メッキ鋼管(白ガス管) | 15〜25年 | 最も老朽化が早い。赤水・腐食が問題 |
| ライニング鋼管 | 20〜35年 | 内面コーティングで耐久性向上 |
| 塩化ビニル管(HI-VP) | 30〜50年 | 耐食性が高く長寿命 |
| 架橋ポリエチレン管 | 30〜50年以上 | 軽量・施工性良好。近年の主流 |
| ステンレス管 | 40〜60年以上 | 最も高耐久。初期費用は高い |
| 配管材料 | 実際の耐用年数目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 鋳鉄管(CI) | 25〜40年 | 重厚で耐久性が高いが重量あり |
| 鋼管 | 15〜25年 | 腐食・錆が課題 |
| 塩化ビニル管(VP/VU) | 30〜50年 | 軽量で施工性良好 |
| 耐火二層管 | 30〜50年 | 集合住宅の排水管に多く使用 |
同じ「給水管」「排水管」でも、使われている材料によって寿命はこれだけ幅があります。まずは自分の物件でどの材料が使われているかを把握することが、更新時期を見極める第一歩になります。 各配管材料の劣化メカニズムのより詳しい比較は配管材料の耐用年数と寿命比較|銅管・塩ビ管・ステンレスの劣化年数で解説しています。
賃貸物件オーナーが知るべき更新サイクルの実態
法定耐用年数15年の「給排水設備」には、配管本体だけでなく、水栓金具・給水ポンプ・貯水槽・浄化槽なども含まれます。これらを15年で一括りに考えるのではなく、それぞれの実際の耐用年数を把握したうえで、計画的に更新していくことが重要です。
更新サイクルの実例(木造アパート4戸の場合)
- 築10〜15年:水栓金具の交換(パッキン交換・シャワーヘッド交換など)
- 築15〜20年:給水管の点検・部分更新(亜鉛メッキ鋼管の場合は全体更新を検討)
- 築20〜25年:排水管の高圧洗浄・カメラ点検、キッチン排水管の部分更新
- 築25〜30年:給排水管の全面更新(ポリエチレン管・塩ビ管への更新)
- 築30〜40年:配管の全面更新・排水桝の更新
このように、配管まわりの更新は一度で終わるものではなく、築年数の進行に合わせて段階的に発生します。あらかじめこのサイクルを想定しておくと、突発的な出費や入居者トラブルを避けやすくなります。
配管更新費用の減価償却
配管更新工事の費用は、会計上「修繕費」または「資本的支出」のいずれかに分類されます。どちらに分類されるかによって、税務上の取り扱いが変わってきます。
修繕費として認められる場合
- 既存配管の原状回復(同等材料・同等仕様での更新)
- 修理・部分補修
- 20万円未満の少額工事
修繕費に該当する場合は、工事を行った年に全額を費用として計上できます。
資本的支出(減価償却)となる場合
- 配管材のグレードを上げて耐用年数が延長する場合(グレードアップ更新)
- 20万円以上の大規模工事で、資産価値を増加させると認められる場合
資本的支出に該当する場合は、法定耐用年数(給排水設備15年)にわたって減価償却していきます。修繕費と資本的支出のどちらになるかで手元に残るキャッシュも変わるため、判断が難しい場合は税理士に相談することをお勧めします。 給湯器・空調設備・電気設備など建物附属設備全体の耐用年数と減価償却の考え方は建物附属設備の耐用年数と減価償却|給排水設備15年・電気設備の実務で整理しています。
長期修繕計画への配管更新の組み込み方
賃貸物件の長期修繕計画(一般的には10〜15年スパンで見直します)に配管更新を組み込む際のポイントを解説します。
現状の配管材料を把握する
まずは建物の竣工図面や設備台帳で、使われている配管材料を確認します。図面が残っていない場合でも、専門業者による現地調査やカメラ診断によって材料や劣化状況を確認できます。
優先順位の設定
すべての配管を一度に更新するのは費用的に難しいことが多いため、リスクの高い箇所から段階的に進めるのが現実的です。目安となる優先順位は次のとおりです。
- 漏水リスクが最も高い亜鉛メッキ鋼管の給水管
- 詰まりが頻発する排水管
- 比較的状態が良い塩ビ管・樹脂管
修繕積立額の目安設定
長期修繕計画に基づいて、毎年の修繕積立額を設定します。配管更新費用の目安としては、床面積1㎡あたり年間500〜1,000円程度を積み立てておくことが一つの基準です(建物規模・築年数・使用材料によって調整してください)。2026年時点では資材費や人件費の上昇も続いているため、積立額はやや余裕を持たせて見積もっておくと安心です。
森工業株式会社へのご相談
森工業株式会社は、賃貸物件の配管診断・更新計画の策定から施工まで一貫して対応しています。「どの配管から更新すべきか」「長期修繕計画に組み込みたい」といった検討段階からご相談を承ります。現地調査は無料です。宮城県全域に対応していますので、お気軽にお問い合わせください。
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