
給水装置(配水管から分岐して建物に水を引き込む給水管と、これにつながる蛇口などの給水用具)の構造・材質は、水道法・水道法施行令・「給水装置の構造及び材質の基準に関する省令」(基準省令)の3段で決められています。基準省令の直近の改正は2024年4月1日施行の、水道行政の所管の整理に伴う改正で、水道法の直近の改正は2025年7月1日施行です(e-Gov法令検索の基準省令・水道法の改正履歴)。2026年に成立した「下水道法等の一部を改正する法律」が改めたのは下水道法と道路法で(国土交通省「下水道法等の一部を改正する法律案」概要)、給水装置の基準は対象になっていません。この記事では、今の基準の仕組みと、工場・店舗・賃貸物件などの給水装置工事で確かめることを整理します。
給水装置とは:配水管からの分岐から先の給水管と給水用具
水道法は、給水装置を「需要者に水を供給するために水道事業者の施設した配水管から分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具」と定めています(水道法 第3条第9項)。水道メーターから先だけではなく、道路の下の配水管から分岐した所からが給水装置です。
仙台市水道局の「給水装置工事施行要領」は、次のように整理しています(仙台市水道局「給水装置工事施行要領」)。
- 受水槽以下設備(受水槽から先の給水設備)は、給水装置ではない(第一章)
- 給水装置は、直結式・受水槽式とも、メーターを除きすべて所有者の財産(第七章)
配水管と給水管の違い、配水管の工事の流れは配水管と給水管の違いで解説しています。
基準は水道法16条・施行令6条・基準省令の3段で決まる

水道法第16条は、給水装置の構造・材質が政令で定める基準に適合していない時、水道事業者は供給規程の定めるところにより、給水契約の申込みを拒み、または基準に適合させるまで給水を停止できるとしています(水道法)。
その政令の基準が水道法施行令第6条で、次の7項目です(仙台市の施行要領 第一章の引用による)。
- 配水管への取付口の位置は、他の給水装置の取付口から30センチメートル以上離れていること
- 配水管への取付口の給水管の口径は、水の使用量に比べて著しく過大でないこと
- 配水管の水圧に影響を及ぼすおそれのあるポンプに直接連結されていないこと
- 水圧・土圧その他の荷重に対して充分な耐力を有し、水が汚染され、または漏れるおそれがないこと
- 凍結・破壊・侵食などを防止するための適当な措置が講じられていること
- 当該給水装置以外の水管その他の設備に直接連結されていないこと
- 水槽・プール・流しなどに給水する給水装置は、水の逆流を防止するための適当な措置が講じられていること
施行令は技術的な細目を省令に委ねていて、それが基準省令です。基準省令は、個々の給水管・給水用具が満たすべき「性能基準」と、給水装置工事の施行の適正を確保するための「給水装置システム基準」から成ります(仙台市の施行要領 第一章)。
基準省令の7つの性能基準
基準省令の性能基準は、次の7つです(給水装置の構造及び材質の基準に関する省令)。
| 基準(基準省令の条) | 主な中身 |
|---|---|
| 耐圧(第1条) | 1.75メガパスカルの静水圧を1分間加えた時、水漏れ・変形・破損などの異常を生じないこと(最終の止水機構の流出側の給水用具は除く) |
| 浸出等(第2条) | 飲用の水を供給する給水装置は、浸出性能試験の浸出液が別表の基準に適合すること |
| 水撃限界(第3条) | 水撃作用を生じるおそれのある給水用具は、流速2メートル毎秒または動水圧0.15メガパスカルで急閉止した時の上昇圧力が1.5メガパスカル以下であること。満たさない時はエアチャンバーなどの水撃防止器具を近くに設ける |
| 防食(第4条) | 酸・アルカリで侵食されるおそれのある場所は耐食性の材質か防食材の被覆、漏えい電流で侵食されるおそれのある場所は非金属の材質か絶縁材の被覆 |
| 逆流防止(第5条) | 水が逆流するおそれのある場所は、逆流防止や負圧破壊の性能をもつ給水用具を適切な位置に設けるか、吐水口空間を確保すること |
| 耐寒(第6条) | 凍結のおそれのある場所の給水装置は、零下20度プラスマイナス2度で1時間保持した後に通水して性能を保つこと。断熱材の被覆などで凍結防止の措置をとる場合はこの限りでない |
| 耐久(第7条) | 減圧弁・逃し弁・逆止弁・空気弁・電磁弁の弁類は、10万回の開閉操作の後も性能を保つこと |
耐寒の基準は、地域ではなく設置する場所で決まります。基準省令第6条は「屋外で気温が著しく低下しやすい場所その他凍結のおそれのある場所」に設置する給水装置を対象にしていて、寒冷地の屋内でも凍結のおそれがあれば当てはまります。
給水装置システム基準には、次のような工事の側の決まりがあります(同省令)。
- 給水装置の接合箇所は、構造・材質に応じた適切な接合が行われていること(第1条第2項)
- 家屋の主配管は、構造物の下の通過を避けることなどで、漏水時の修理を容易に行えるようにすること(第1条第3項)
- 末端部が行き止まりになるなどで水が停滞する構造にしないこと(排水機構を設けた場合を除く。第2条第2項)
- シアン・六価クロムなど水を汚染するおそれのある物を扱う施設に近接して設置しないこと(第2条第3項)
- 鉱油類・有機溶剤などが浸透するおそれのある場所は、浸透しない材質か、さや管などで防護すること(第2条第4項)
- 事業活動に伴い水を汚染するおそれのある場所に給水する給水装置は、その場所の設備と分離することなどで逆流を防止すること(第5条第2項)
逆流防止の器具の仕組みは逆流防止弁とはで解説しています。
基準に合う材料の確かめ方と、水道事業者の指定材料
仙台市の施行要領 第五章は、基準に適合した給水管・給水用具を次の4つに分けています。
- 自己認証品:製造業者や販売業者が、試験成績書などで自ら基準への適合を証明する製品
- 第三者認証品:第三者認証機関が基準への適合を認証した製品。認証機関は日本水道協会・日本燃焼機器検査協会・電気安全環境研究所・日本ガス機器検査協会
- 適合が明らかな製品:JIS規格・JWWA規格の製品のように、性能基準への適合が明らかな製品
- 水道局の規格・仕様にもとづいて製造された製品
同じ章は、基準への適合の確認は「自己認証」が基本で、指定給水装置工事事業者は、使う給水管・給水用具が基準に適合していることを製造者などの資料で確かめなければならないとしています。
これとは別に、水道事業者が材料を指定している部分があります。仙台市では、条例第13条により、災害時の損傷の防止と復旧のために配水管から水道メーターまでの材料を指定でき、配水管の分岐部から宅地内の第一止水栓までとメーターまわりの材料を指定しています(施行要領 第五章 6)。たとえば口径50ミリ以下は水道用ポリエチレン管(1種二層管)や水道用波状ステンレス鋼管などで、ガソリンスタンドや工場など油類が浸透するおそれのある場所の埋設管は、波状ステンレス鋼管か溶剤浸透防止被覆の管とされています。
工事の施行と検査:指定給水装置工事事業者と耐圧試験
水道事業者は、給水装置工事を適正に施行できると認められる者を指定でき、給水装置がその水道事業者か指定給水装置工事事業者の施行したものであることを供給条件にできます(水道法 第16条の2。軽微な変更などは除く)。指定は5年ごとに更新を受けなければ効力を失い(第25条の3の2)、指定給水装置工事事業者は事業所ごとに給水装置工事主任技術者を選任します(第25条の4)。主任技術者の職務には、給水装置の構造・材質が基準に適合していることの確認が含まれます。指定の更新の手続きは指定給水装置工事事業者の更新手続きガイドで解説しています。
工事の検査の方法は、水道事業者ごとに定められています。仙台市の施行要領 第四章(検査)では、耐圧試験は給水・給湯のすべてについて行い、試験水圧は1メガパスカルで、配管部の加圧時間は口径13〜25ミリが1分以上、30〜50ミリが10分以上、75ミリ以上が30分以上です。井戸水から上水道への切替えや、受水槽式から直結式への切替えなどは0.75メガパスカルとし、社内検査の耐圧試験は本管との接続の前に水圧で行うとしています。基準省令の1.75メガパスカルは製品の性能の試験の値で、工事の後の耐圧試験の値とは別のものです。
既設の給水管に鉛製給水管が使われている場合、仙台市の施行要領 第六章は、鉛の溶出を伴わない他の管種への布設替えが必要としています。鉛製給水管の交換は鉛製給水管の交換ガイドで解説しています。
法人の施設の給水装置工事で確かめること
工場・店舗・賃貸物件の共用部などで給水装置の工事を計画する時は、次の点を確かめておくと手戻りを防げます。
- 使う給水管・給水用具が性能基準に適合していること(認証マークや製造者の資料)
- 凍結のおそれのある場所は、耐寒性能をもつ製品か、断熱材の被覆などの凍結防止の措置
- 薬品・油類を扱う場所は、防食・油類の浸透の防護・逆流の防止(汚染のおそれのある設備との分離)
- 配水管から水道メーターまでの部分に、水道事業者の指定材料があるか
- 工事を行う事業者が、その水道事業者の指定給水装置工事事業者であるか
- 申込み・検査・耐圧試験の方法(水道事業者の施行要領など)
森工業は給水装置工事主任技術者が在籍し、工場・プラント・店舗・賃貸物件の共用部などの給水装置工事に対応しています(法人・事業者様専門。個人宅の工事は対象外です)。給水装置の更新や改造のご相談は、お問い合わせフォームよりお寄せください。
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