
工場・商業施設・公共施設の敷地には、給水管・排水管・ガス管などが地中に埋設されています。埋設配管は埋め戻すと目で見られず、直すには掘り返す必要があるため、施工時の深さ・防食・埋戻し・試験と、埋設後の点検・記録が品質を左右します。この記事では、公共建築工事標準仕様書と仙台市水道局の給水装置工事施行要領の規定をもとに、埋設配管の施工と保守管理の要点を整理します。
埋設配管に当てはまる基準と資料
埋設配管の施工の決まりは、配管の種類と工事の発注者によって拠り所が変わります。
- 給水装置(配水管から分岐した給水管と給水用具): 水道法施行令は、水圧・土圧などの荷重に十分な耐力を持ち、凍結・破壊・侵食などを防ぐ措置を講じることを求めています。仙台市では、仙台市水道局の給水装置工事施行要領が具体的な施工方法を定めています。
- 建物の設備配管(給水装置以外の給水管・排水管など): 工事ごとの設計図書で仕様が決まります。国の官庁施設の営繕では公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)が基準で、同仕様書も、特記仕様や図面が標準仕様書より優先すると定めています。
- 長期の修繕計画: マンションの共用部について、国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインが修繕周期の例を示しています。
標準仕様書は官庁施設の基準で、民間の工場や店舗の工事にそのまま義務づけられるものではありません。以下の数値も、どの資料の値かを添えて紹介します。
埋設深さと他の埋設物との離隔

公共建築工事標準仕様書は、管の地中埋設深さを、車両道路では管の上端から600mm以上、それ以外では300mm以上とし、寒冷地では凍結深度以上としています。給水管と排水管を平行に埋設する場合は水平実間隔を原則500mm以上とし、平行・交差のどちらでも給水管を排水管の上方にします。
給水装置については、仙台市水道局の給水装置工事施行要領が、仙台市の凍結深度を30cmとしたうえで、宅地内などの埋設深さを口径ごとに定めています(道路内は道路の種類と舗装に応じて別に定めています)。
| 埋設箇所 | 口径 | 埋設深さ |
|---|---|---|
| 宅地 | 50mm以上 | 60cm以上 |
| 宅地 | 40mm以下 | 45cm以上 |
| 私道等 | 20mm以上 | 60cm以上 |
同要領は、宅地内でも重車両が乗り入れる場合は管を防護し、規定の深さが取れない場合は伏越しとしています。やむを得ず凍結深度より浅くなる場合は、ポリスチレンフォームとビニールテープで巻厚30mm以上の二重巻きにします。他の埋設物とは30cm以上の間隔を取り、やむを得ず近接する場合は発泡スチロールなどで管の損傷を防ぎます。
同じ敷地でも、給水装置に当たる部分と建物の設備配管とで拠り所が違うため、着工前にどの基準が掛かるかを確かめます。寒冷地の深さは配管の凍結深度と埋設基準で解説しています。
地中の侵食と防食の方法
給水装置工事施行要領は、埋設管の侵食を、鉄道や変電所の近くで漏えい電流によって起きる電食と、腐食電池ができて起きる自然侵食に分けています。自然侵食の多くを占めるマクロセル侵食の代表例は、異なる金属をつないだ時の異種金属接触侵食、鋼管の一部がコンクリートに接した時のコンクリート/土壌系侵食、通気の違う土にまたがる時の通気差侵食です。侵食の起こりやすい土壌として、同要領は次の3つを挙げています。
- 酸性またはアルカリ性の工場廃液などが地下に浸透している土壌
- 海浜地帯で、地下水に多量の塩分を含む土壌
- 埋立地の土壌(硫黄分を含んだ土壌、泥炭地帯など)
こうした場所では非金属管を使うか、金属管に適切な電食防止措置を講じます。同要領は、分岐部や腐食のおそれのある金属製の給水装置をポリエチレンシートやポリエチレンスリーブで被覆し、異種金属の管は絶縁継手などでつなぐとしています。鉱油類や有機溶剤が浸透するおそれのある場所では、浸透しない材質の管を使うか、さや管などで防護します。管種ごとの注意点も同要領の表にあり、ポリエチレン二層管は熱に弱く有機溶剤の浸透に注意が要る、ダクタイル鋳鉄管は防食面が傷つくと腐食しやすい、ステンレス鋼管は異種金属との絶縁処理が要る、とされています。
建物の設備配管では、公共建築工事標準仕様書が、地中に埋設する鋼管類(排水の鋼管類、合成樹脂などで外面を被覆した部分、SUS316のステンレス鋼管を除く)に防食材による処理を定めています。ペトロラタム系は防食テープとプラスチックテープを各1/2重ね1回巻き、ブチルゴム系は絶縁テープを1/2重ね2回巻き、熱収縮チューブは1層、熱収縮シートは2層重ねです。金属の組み合わせは配管の電食(異種金属腐食)で紹介しています。
埋戻しと埋設位置の表示
公共建築工事標準仕様書の地中配管の規定は次のとおりです。
- コンクリート管以外の管は、山砂の類で管の周囲を埋め戻した後、掘削土の良質土で埋め戻す
- 排水管にコンクリート管や塩ビ管を使う場合は、呼び径300以下で管の下端より100mm程度、300を超えると150mm程度深く根切りし、切込み砕石や山砂の類を敷いて突き固めてから布設し、管の中心線程度まで埋め戻して十分に充填する
- 屋外の地中配管の分岐と曲り部に地中埋設標を設ける
- 土被り150mm程度の深さに埋設表示用のアルミテープやポリエチレンテープなどを埋める(排水管を除く)
給水装置では、給水装置工事施行要領が、宅地内の埋戻しは管周り(管上10cm)を砂、その他を良質土とし、石塊やコンクリート塊を混ぜないとしています。車両から埋戻し材を直接投入して地表まで一気に埋め戻すことは、締固め不足と管の損傷のおそれがあるため行いません。湧水がある場合は排水してから埋め戻します。
埋め戻す前の耐圧試験
公共建築工事標準仕様書は、配管の試験を、隠ぺい・埋戻し、塗装、保温施工のいずれかより前に行うとしています。給水管・給湯管は、水道事業者や規格類に試験の規定がない場合、次の水圧試験を行います。
- 保持時間は最小60分、試験圧力は配管の最下部での圧力
- 給水装置に該当する管は1.75MPa以上
- ポンプの圧力がかかる配管は、全揚程に相当する圧力の2倍かつ0.75MPa以上
- 高置タンク以降の配管は、静水頭に相当する圧力の2倍かつ0.75MPa以上
排水管は満水試験(保持時間は最小30分)を行い、衛生器具などの取付け後に通水試験を行います。
水道事業者に規定がある給水装置は、その規定で試験します。仙台市水道局の給水装置工事施行要領は、耐圧試験を給水・給湯の全てについて行い、試験水圧を1MPaとしています。配管部の加圧時間は、口径13〜25mmが1分以上、30〜50mmが10分以上、75mm以上が30分以上です。
このように、試験の圧力と時間は資料と範囲によって違います。工事の仕様書と水道事業者の規定を確かめてから試験します。手順は配管の水圧試験・圧力試験で解説しています。
埋設後の点検と劣化のサイン
給水装置工事施行要領は、維持管理の章で漏水の見つけ方を挙げています。
- すべての給水栓を閉めているのに、メーターの回転指標(パイロット)が回っている
- 使っていないのに、受水槽のポンプのモーターがたびたび動く
- 配管してある付近の地面がぬれている
- 下水のマンホールに、いつもきれいな水が流れている
地下漏水は出水不良の原因にもなります。水の色や臭いにもサインが出ます。赤褐色や黒褐色の水は鋳鉄管・鋼管のさびが流れ出たもので、常に出る場合は管種の変更などが必要です。亜鉛めっき鋼管は内部のスケール(赤さび)で年月とともに断面が小さくなり、出水不良を起こすと取替えが必要になります。油臭やシンナー臭は、漏れた油類や土中に浸透した塗料が硬質塩化ビニル管やポリエチレン二層管を侵して起きることがあります。
侵食には、管の肉厚が全面的に減る全面侵食と、局部に集中して漏水事故につながる局部侵食があります。漏水の位置は専用の調査で絞り込みます。方法は漏水調査の方法と地中に埋まった給水管の漏水を発見する方法で紹介しています。
更新の判断と竣工時に残す記録
給排水設備の法定耐用年数15年は、減価償却に使う税務上の年数で、配管が使える年数ではありません(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一)。
長期修繕計画作成ガイドラインは、修繕周期をマンションの仕様や立地条件を考慮して設定し、既存のマンションではさらに劣化状況の調査・診断の結果に基づいて設定するとしています。マンション共用部の修繕周期の例は、給水管が更生19〜23年・取替え30〜40年、ガス管が取替え28〜32年です。同ガイドラインの様式は、給水管の取替えに屋外の共用給水管を、ガス管に屋外埋設部のガス管を含め、埋設排水管・排水桝は外構の項目で扱います。いずれも計画のための例で、材質ごとの年数ではありません。
更新の方法には、掘削して管を入れ替える更新と、管を布設したまま内面を処理する更生があります。給水装置工事施行要領は、給水装置の更生工事を、内面の錆や付着物を除いて樹脂系塗料などを塗り、機能の回復と延命を図る工事とし、対象を建築物内の金属管で、事前調査で施工できると判断したものとしています。違いは配管の更生工法と更新工法の違いで解説しています。
同要領は、家屋の主配管の経路が構造物の下を通らないようにするなどして、漏水時に修理しやすくすることも求めています。竣工時に埋設した管の経路・深さ・管種・口径と地中埋設標の位置を図面に残しておくと、漏水調査や更新で掘る位置を決めやすくなります。埋設配管の新設・更新や漏水の調査・修繕のご相談は、お問い合わせフォームよりお寄せください。
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