
既設の水道管から新しい給水管を分岐したり、管の途中に仕切弁を入れたりする工事では、該当する区間を断水して管を切るのが従来のやり方でした。不断水工法は、管に水が通ったままの状態で穴を開け、分岐やバルブの設置を行う工法です。この記事では、割T字管を使った不断水工法の仕組みと手順、仙台市の給水装置工事の施行要領で決められている分岐の条件、採用を検討するときの確認点を整理します。
不断水工法とは
不断水工法は、既設管の外側に割T字管と作業用の弁を取り付け、その弁を通して専用の穿孔機で管に穴を開ける工法です。穴を開けている間も管の中の水は弁と穿孔機の内側に閉じ込められるため、外に漏れません。不断水工法の機材メーカーは、断水に伴う告知や給水車の手配、工事完了後の管内の清掃が不要になる点を利点に挙げています。
用途は分岐だけではありません。メーカーの工法の解説では、主に次のような使い分けが紹介されています。
- 不断水分岐: 既設管から断水せずに分岐管を取り出す
- インサーティング: 既設管に仕切弁やプラグを断水せずに挿入し、切り回しや管路の閉止を行う
- 補修弁・空気弁・消火栓の交換: 老朽化した付属設備を断水せずに取り替える
- ホットタップ: 石油やガスの配管で、流れを止めず圧力を下げずに分岐や遮断を行う
割T字管による分岐の手順

割T字管は、既設管を両側から抱き込むように取り付ける二つ割りの継手です。分岐口に仕切弁を組み合わせるか、弁を一体にした弁付割T字管を使います。メーカーが示す不断水分岐の流れは次のとおりです。
- 既設管に割T字管と仕切弁を取り付ける
- 仕切弁が開いていることを確かめてから、穿孔機を取り付ける
- 穿孔機のカッターを前進させ、既設管に穴を開ける
- カッターを元に戻し、仕切弁を閉じる
- 穿孔機を取り外し、分岐側の配管ができてから仕切弁を開けて通水する
仕切弁や栓を管の中に挿入する工法では、割T字管を取り付けたあとに水圧試験を行い、確実に取り付けられたことを確かめてから穿孔します。切り取った管の切片は、カッターの落下防止の仕組みで回収します。
仙台市の施行要領で決められている分岐の条件
公道の配水管から給水管を分岐する工事は、水道事業者の基準に従って行います。仙台市水道局の給水装置工事施行要領は、分岐について次のように定めています。
- 配水管への取付口の位置は、他の給水装置の取付口から30cm以上離す(水道法施行令第6条第1項第1号)
- 取出しは配水管の直管部からとし、異形管や継手からは取り出さない。配水管の継手部の端面からも30cm以上離す
- 割T字管・弁付割T字管・チーズによる分岐は水平配管とし、サドル付分水栓による分岐は管頂部で穿孔する
- ダクタイル鋳鉄管から口径20mm〜50mmで穿孔した穴には、防錆コア(密着型)を装着する
- 分岐部は、分水穿孔の前、取付けの時点で耐圧試験を行う
分岐材料は被分岐管の管種と口径、分岐口径の組合せごとに表で指定されています。口径75mm以上の分岐では主に弁付割T字管、40mm以下の分岐ではサドル付分水栓が使われ、50mmの分岐は被分岐管の管種によって弁付割T字管とサドル付分水栓に分かれます。配水管から分岐する工事には、配水管への分水栓の取付けや分岐穿孔の経験を持つ技能者を従事させるか、その者に監督させることも求められています。
出典: 仙台市水道局 給水装置工事施行要領/e-Gov法令検索 水道法施行令
公道からの引込み工事の申込みから竣工検査までの流れは、水道引き込み工事の手続きと工期で解説しています。
工場・施設で採用を検討するときの確認点
工場や病院、商業施設のように水を止めにくい施設では、敷地内の給水管で分岐や弁の追加が必要になったときにも不断水工法が候補になります。採用できるかどうかは、次の点で決まります。
- 既設管の管種・外径・肉厚が、割T字管や穿孔機の適用範囲に合っているか
- 取付け部の管が腐食や変形で傷んでいないか(割T字管の止水面が確保できるか)
- 割T字管と穿孔機を据える掘削や作業のスペースがとれるか
- 取付け後の水圧試験と、穿孔片の回収まで含めた工程を組めるか
- 分岐の位置が、継手や他の分岐から十分に離れているか
管が古く、取付け部の状態が確かめられない場合は、断水して管を切り替える方が確実なこともあります。生産設備を動かしたまま配管を更新する工程の組み方は、工場の生産ラインを止めずに行う配管更新工事で解説しています。
まとめ
不断水工法は、割T字管と作業弁、専用の穿孔機を使って、水を止めずに分岐やバルブの設置を行う工法です。公道の配水管では水道事業者の施行要領が分岐の位置や材料、試験を細かく定めているため、計画の段階で施工地の基準を確かめることが欠かせません。
森工業は、上水道の新設・修繕や水道管の取替えなど法人・事業者様の水道工事を承っており、給水装置工事主任技術者が在籍しています。工場・施設の給水管の分岐や引込み、配管更新のご相談は、お問い合わせフォームよりお寄せください。
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