
ライニング更生工法とは
給水管の更生工法(ライニング工法)とは、老朽化した既存配管を撤去・交換せずに、管内部に特殊な樹脂塗料や樹脂ライニング材を充填・被覆することで配管を再生する技術です。
配管を掘り起こさなくてよいため工事規模が小さく、居住者への影響を最小限にできる点が大きな特長です。マンション・アパートの給水管更生では、1戸あたりの断水時間を大幅に短縮できるため、住みながら工事できる手法として広く採用されています。
本記事では、ライニング工法の実際の施工手順を工程別に詳しく解説します。
主なライニング工法の種類

流水塗布工法(スプレーライニング)
管内部に高圧エアと共に液状の樹脂塗料を吹き付け、薄い保護被膜を形成する方法です。主に口径が小さい(13〜50mm程度)の給水管に使用されます。施工後の管内径の減少が少なく、流量への影響を最小限にできます。
スリーブ挿入工法(インサーション工法)
既存管の内側に新しい薄肉の樹脂管(ポリエチレン管など)を引き込む方法です。管径が小さくなるものの、確実な内面保護が得られます。曲がりが少ない直管部に適しており、継手部は別途処理が必要です。
反転挿入工法(CIPP工法)
樹脂を含浸させた繊維製ライナーを管内に反転挿入し、水圧または空気圧で管壁に密着させた後、硬化させる工法です。下水管や大口径管の更生によく使われ、継手部も一体的に更生できるメリットがあります。
施工手順の詳細
第1工程:事前調査・診断
施工前に管内カメラ調査(CCTV調査)を実施して、老朽化の状態・腐食の程度・継手部の状況を確認します。赤水が出ている場合はサンプル採取による水質検査も実施します。
この工程で管内の状態を正確に把握することが、工法選定と施工品質の出発点です。調査の結果によってはライニングが不適切と判断され、更新(配管交換)を推奨するケースもあります(管壁厚が著しく薄くなっている場合など)。
第2工程:断水・隔離
施工区間の止水栓を閉め、工事範囲を断水します。マンションの場合は事前に入居者への通知(断水日時の告知)が必要です。断水時間の目安は1棟あたり1日〜3日程度(規模による)です。
第3工程:管内洗浄(フラッシング・スケール除去)
管内に付着した赤錆・スケール・汚泥を除去します。高圧水洗浄(ウォータージェット)、スクレーパーによる研磨、または研磨材(サンドブラスト)を使用して管内壁を清潔にします。
この洗浄が不十分だと、樹脂材の密着性が低下してライニングの剥離や膨れが起きるため、工程の中で最も重要な作業の一つです。
第4工程:管内乾燥
洗浄後、乾燥エアを管内に送り込んで水分を完全に除去します。樹脂材の硬化には一定の温度・湿度条件が必要なため、管内乾燥の品質が仕上がりに直結します。乾燥時間は管路長と気候条件によって異なります。
第5工程:ライニング材の充填・塗布
選定した工法に応じてライニング材を管内に施工します。
- スプレーライニング:コンプレッサーで液状樹脂を高速吹き付け。管路長が長い場合は複数の注入ポイントから分割施工
- スリーブ挿入:引き込み機を用いて樹脂管を既存管内へ引き込み、端部を固定
- 反転挿入(CIPP):ライナーを水圧または空気圧で管内に反転させながら挿入し、全長を密着
第6工程:硬化・養生
施工後、ライニング材が所定の強度・硬度に達するまで養生時間を確保します。温度・湿度によって養生時間は変わりますが、スプレーライニングで数時間〜半日程度、CIPP工法では熱水硬化(85℃程度)または紫外線硬化を用いて2〜6時間程度が目安です。
第7工程:通水検査・水質確認
硬化後、管内カメラで仕上がりを確認し、ピンホールや未施工箇所がないことを検査します。その後、通水して水質基準(水道法に基づく水質基準、特に異臭・異味・色度・濁度)を満たすことを確認してから使用開始します。
初回通水時は数分間フラッシングを行い、施工残材を排出してから飲料水として使用可能の判断をします。
施工期間の目安
| 建物規模 | 施工期間の目安 |
|---|---|
| 一般戸建て | 1〜2日 |
| 20戸以下のアパート | 2〜4日 |
| 20〜50戸のマンション | 4〜7日 |
| 50戸以上の大規模マンション | 1〜2週間(棟・系統ごとに分割) |
費用の目安
給水管ライニング更生の費用は、建物規模・配管延長・配管口径・工法によって大きく異なります。
| 条件 | 費用目安(概算) |
|---|---|
| 一般戸建て(給水管のみ) | 30〜80万円 |
| 20戸マンション(共用部のみ) | 100〜250万円 |
| 50戸マンション(共用・専有部) | 500〜1,000万円以上 |
なお、建物によっては配管の更生が難しく、更新(配管交換)しか選択肢がないケースもあります。事前調査なしに費用を確定することはできないため、複数業者から見積もりを取ることが重要です。
まとめ:事前調査が成否を決める
給水管ライニング更生工法は、配管を掘り起こさずに再生できる優れた工法ですが、施工前の管内調査と適切な工法選定が成否を大きく左右します。老朽化が進みすぎた配管や継手が多い系統では、更新工法のほうがコストパフォーマンスが高くなる場合もあります。
森工業株式会社では、管内カメラ調査から工法提案・施工・水質確認まで一貫して対応しています。宮城県内の商業ビル・工場・施設の給水管更生をご検討の方は、まずは現地調査からお気軽にご相談ください。
この記事をシェア